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私は…思わず息を飲んでしまった。
それ程までに美しい和服の女性。
洗練された美しさとは正にこの事。
漫画や小説でも、この女性は百合の花と例えられた。
美しいあやかしに囲まれて学校生活を送る花梨は、意外にもその辺は気を遣っていた様で、お手入れ等は怠らなかった。
しかしあやかしの凄い所は、人間は「美人は3日で飽きる」という言葉があるのだけれど、あやかしの美しさは何度見ても飽きない。
だから…今回も私は圧倒されてしまった。
この艶のある長い黒髪…ずっと見てしまう微笑み
しかし、瑶太と他のあやかしにとっては、そうではないようだった。
これまた他のあやかし達は、あの女性に頭を下げる。
「うっ…うぅっ…!な、なんだあの霊力は…!」
「あれは…鬼龍院玲夜様の婚約者…」
「馬鹿!花嫁様が見つかったのだから、もう…」
「し、しかし、何故あの方が、鬼の花嫁様の妹である花梨様に…!?」
鬼龍院玲夜には、婚約者がいた。
権力のある家や資産家等、政略婚はよくある話だが…
男のあやかしに花嫁が見つかれば、それは必然的に白紙となるのである。
その鬼龍院玲夜の“元”婚約者が
鬼龍院玲夜の花嫁の“元”妹の私に
鬼山桜子様が、何故私に接触をしてきたのでしょうか。
「は…初めまして…鬼山…桜子、様」
「まぁ!私の事をご存知で?」
「い、色んな方から話は良く…」
―――嘘です!花梨はそこまで興味持ってません!前世の私が、漫画や小説で知識を得ました!
「そんな固くならないで下さいませ…は、無理な話ですわね。実を申し上げますと、私は、花梨様にお願いがあってお待ちしておりましたの」
「えっ…!?私にですか!?」
「…花梨に、何の用が?」
「ちょっ…」
瑶太が私を抱き締めるけど、その腕は震えている。
当然だ…もうあの件で瑶太は鬼の一族にトラウマがあるのだから。
「あらあら、仲睦まじいのですね」
「よ、瑶太!鬼山桜子様の前で!」
「うふふ…花梨様もこう仰っているのですから、離れてあげたらどうです?」
「花梨に何の用があると聞いているのです」
「―――私は花梨様にお話がございます。けれど貴方に用はありませんわ。ましてや、玲夜様の大切な花嫁様に…女性に対して愚行を働いた貴方なんかに」
桜子様は…笑っている。
けれど目はとても冷たい。
それだけで、瑶太は私から離れた。
年齢や性別は関係ない。
鬼と妖狐の差を、身を持って知った。
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シャリファ(プロフ) - はい瑶太がなんかやらかすフラグ‥もう原作もしも花梨が改心してもあんま意味なかったかもですね (2月13日 8時) (レス) @page33 id: 8b3e245298 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» もちろん、わかっています。後のお楽しみっていうのがありますし。 (2月13日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» 一先ず両親が原作通り地獄に堕ちるのは確定です。瑶太と菖蒲と後何人かにはどんどん破滅・地獄フラグを建たせていく予定です。それが各々フラグが折れるor破滅ENDを迎えるかまではまだ言えませんすみません。 (2月13日 2時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» まぁ、そうですね・・・。改心してくれればそれでいいです。瑶太は両親と共に地獄に堕ちて欲しいですけど。 (2月12日 23時) (レス) id: 211f054fc3 (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» ご丁寧にありがとうございます。茉莉に関してはこの後重大な鍵を握るキャラではあります。確かに茉莉は頼もしい設定ではあります…が、今言えるのはそれだけです。尚、花梨の友達・菖蒲に関しては瑶太と共に痛い目に合う予定です。友達想いの妖狐女子だとは思いますが。 (2月12日 21時) (レス) @page31 id: 063141ba5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷柱 | 作成日時:2023年12月7日 14時