転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。弐

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コホン、と撫子様が小さく咳払いをする。



「…紹介が先じゃったな。改めて、此奴は狐白茉莉。お主らと同い年じゃ」

「そう、だったのですね。でも…失礼ながら、学園でお見掛けした事はない様な…」

「茉莉は…かくりよ学園の初等部に入学する直前で、霊力の制御が上手くいかなくてな…暫くは人里離れた場所で修業しておったのだ」



霊力…制御…人間とはやはり違うんだな…



「お恥ずかしながら…でも今はきちんとコントロール出来ますわ」



うふふ、と笑う茉莉さん…優雅だなぁ…
と見惚れていたのだけれど…何故か隣の瑶太はプルプルと震えている。




「瑶太、どうしたの？」

「き、君は……まさか……」



うん!?もしかして…やっぱり茉莉さんと知り合いだったのかしら!?



「何じゃ、瑶太は忘れておったのか？」

「それはそうでしょう撫子様。もう10年も前ですよ？」



…10年前？



「―――婚約者の有力候補だった私の顔なんか、覚えている訳ないでしょう？親同士が決めた婚約なら尚更、あやかしと言えど子供が覚えている訳ありませんわ」



……



新事実！瑶太、貴方婚約者がいたのね!?花梨の前に！




「瑶太、やっぱり…」

「あぁ…覚えている。妖狐一族の茶会で、一度だけ顔合わせをした」

「じゃあその時…」




「―――初対面の俺に、容赦なくお茶を何度もかけた女の顔、永遠に忘れたくて堪らなかった……！」




……はへ？




「ふふ、覚えていますわ。私ったら「貴方みたいな妖狐の婚約者なんて真っ平御免だ！」と怒りのあまり泣きながら…子供故の過ち、お許し下さいませ」

「子供故の過ちで住む許容範囲を超えているぞ…！何故初対面の俺にあんな事を!?挨拶すら交わしたこともなかった俺に!?」



…仲悪かった系？



「だって、どうして見知らぬ男子と婚約を結ばなければなりませんの？と疑問だったのです。その直後に花梨様を花嫁に選んだと聞いて、内心ホッとしましたわ」

「あぁ…強制的に婚約話がトントン進められていく中、花梨に出会えた。俺の中では花梨は救世主、天使の様な存在だ。白紙になってどれだけ俺の心が救われたか」




瑶太が…というかあやかしが…
どちらかと言えば和風なあやかしが、どちらかと言えばキリスト風な天使の存在を信じてる!?
いや…でも…海外にもきっといるのよね、あやかしが。


その場合、どんなものかしら。包帯男とかジャックオランタンとかフランケンとか吸血鬼とか…ただのハロウィンな気がして来たわ。

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