転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。弐

妖狐の当主様と妖狐のお姉様 ページ22

一先ず車に向かう。
ここ、かくりよ学園は所謂日本…むしろ世界屈指レベルのセレブ校だ。

大半はリムジンでの送迎が基本だ。

敵対しているあやかしからの襲撃や誘拐から守る為に…というのもあるみたいだけど…
まぁ、お金持ちあるあるみたいな所かしらね。

お金持ってると顔の知らない友人や親戚が増えたり、知人を装う人達が現れるって前世で聞いた事あるし。


とりあえず狐月家の屋敷へ向かい、整い次第撫子様との対談というか、面会と言うか…説教と言うか…




前世で読んだ「鬼の花嫁」では、残念ながら両親と花梨が柚子と決別した直後については書かれていないから、ここからは私自身が知識無し…新しいストーリーを読んでいるつもりでいないとね。




そう意気込み、使用人に促され、後部座席に座ろうとして……





「―――え？」





私は、目を見開いた。

既に乗車している人がいたから…という点で驚いたのもある。

でも一番驚いたのは…乗っている“女性”だ。





「……お姉ちゃん？」





思わず、呟いてしまった。

お姉ちゃん…

ここで言うお姉ちゃんは、柚子の事ではない。




……優し気で、儚げな…優しく微笑む人。





「こんにちは」

「あ…こ、こんにちは、初めまして」




まるで…前世の、私の“お姉ちゃん”だ。




白い絹の様なロングヘア―に栗色の綺麗な瞳を見ると…彼女もあやかしなのだろう。




「あの、撫子様…その方は」

「屋敷で紹介する」




…とりあえず、早く乗ろう。



それにしても、よ。





人外…あやかしだから一応人外って表現で良いのか私個人では曖昧だけど、何というか…





美しい人達ばかりで、私なんかどこかの何かの絞り粕で超恥ずかしいんですけど!?
確かに花梨は、人間の中では可愛い！芸能人並…かは分からないけど、でもその辺の人間よりは可愛く産まれたと思う！

だけど、あくまでも人間の中では、だ！

外見ではどうあっても、あやかしには勝てない！
人間には超えられない壁があるとしたら、そのトップがあやかしなのではないか!?





現世の猛毒両親よ、今まで私をチヤホヤ花よ蝶よと愛でて下さりましたけど、もうこの時点で私は猛毒両親の神経を疑う！

私も結局平凡の部類じゃないか！何、美形しかいないかくりよ学園に、私を放り込む真似を！

ギャルゲーだったら、私なんか攻略対象どころか名前すらないモブ女Bよ！Aですらないわ！

……そして私は何故それを記憶を取り戻すまで受け入れてたんだー！

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す