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そう言うと撫子様は、私が抱える子狐ちゃんに触れ……
「……ふむ」
少しだけ何か考える様な素振りをしているけれど…どうしたのだろう。
「あ、あの…」
「ん?あぁ、すまぬ。無力とは言ったが、この子狐から少しだけ気配を感じてな…」
「気配…」
私には分からない事だらけなので、これ以上は黙っておこう。
気配…あやかしの気配がするのかしら。もしかしてこの子…襲われたとか…?
そんな感じで考えを巡らせても分からないのよねぇ…これが人間の悲しい部分と言うべきか…
その時だった。
眩い光が現れ、私は思わず目を瞑る。
…それが止み、恐る恐る目を開けると…
「あっ……!」
子狐ちゃんの怪我が治り、次第に安定した寝息を整い始める。
「よ、良かった〜…!」
「これで病院に行かなくて済むね!」
「うん!」
菖蒲と一緒に喜ぶ私だけど…何故か瑶太だけは浮かない顔だ。
「瑶太?どうしたの?」
「……花梨。俺が付いているとは言えど、喜ぶのは後にした方が良い」
「え?……あ」
「さて…迷い子狐の件はこれで終了じゃ。まぁお主らが「妾との約束の時間をすっぽかして動物病院へ行こう」と企んでいた可能性は捨てきれぬが、一先ずは保留にしておくとするかの」
人間の私でも分かります。
なんか撫子様の背後にとんでもない怒りのオーラが纏っている。
すっぽかそうとした訳じゃない。ただ、病院を先にして良いかと考えていたのは事実です。
しかし今となっては全てが言い訳になる為、何とも言えないし、何を聞かれてもきっと謝る事しか出来ない。
「この子狐はもう完治した。後は……花梨、瑶太、お主らがキチンと面倒を見るのじゃぞ」
撫子様との約束を後回しにしてまで助けたいと思った子狐ちゃん。
勿論私は面倒を見たいと思っていたから当然言われなくてもそうするけれど…要はアレだ。
妖狐一族の当主よりも、何の無力もないあやかしでもない子狐ちゃんを優先しかけた…いやもはやしたという事実は変わりない。
だから遠回しに「責任持って面倒を見ろ、見ないと処罰するぞ」と言われたも同然だ。
…何故ですか撫子様。
私、まだ柚子に…鬼の花嫁に何もしてませんし、今後何もしませんのに、もう私遠い地に飛ばされるんですか!?
現時点で猛毒両親でさえまだ柚子に何もしてないのに、私は早い段階で物語から退場ですか!?まだ私生き抜く力手に入れてませんけど!?
とりあえず…強い気持ちでいないと!!
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シャリファ(プロフ) - はい瑶太がなんかやらかすフラグ‥もう原作もしも花梨が改心してもあんま意味なかったかもですね (2月13日 8時) (レス) @page33 id: 8b3e245298 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» もちろん、わかっています。後のお楽しみっていうのがありますし。 (2月13日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» 一先ず両親が原作通り地獄に堕ちるのは確定です。瑶太と菖蒲と後何人かにはどんどん破滅・地獄フラグを建たせていく予定です。それが各々フラグが折れるor破滅ENDを迎えるかまではまだ言えませんすみません。 (2月13日 2時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» まぁ、そうですね・・・。改心してくれればそれでいいです。瑶太は両親と共に地獄に堕ちて欲しいですけど。 (2月12日 23時) (レス) id: 211f054fc3 (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» ご丁寧にありがとうございます。茉莉に関してはこの後重大な鍵を握るキャラではあります。確かに茉莉は頼もしい設定ではあります…が、今言えるのはそれだけです。尚、花梨の友達・菖蒲に関しては瑶太と共に痛い目に合う予定です。友達想いの妖狐女子だとは思いますが。 (2月12日 21時) (レス) @page31 id: 063141ba5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷柱 | 作成日時:2023年12月7日 14時