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タイミング良く現れた瑶太が、私と私を揺さぶる菖蒲を優しく引き離す。
瑶太にとって菖蒲は同じ一族あやかしであり従妹だから、瑶太も甘やかす面もあるのよね。
瑶太が片手で私の肩を引き寄せ、もう片方の手で菖蒲の肩をポンと叩く。
「花梨の姉への恨みや怒りは分かる。憎んでも憎み切れない。しかし…あの女は鬼龍院家の花嫁となった以上、それを公共の場で喚くのは破滅に等しい」
「でも!」
「菖蒲、それ以上は流石の俺も怒る。これは…俺達ではどうにもならない問題だ」
「瑶太…」
「最も、あっちが花梨に何かしようとするのなら話は別だがな…」
いやしないから。
原作では花梨や両親から柚子に色々するけど…そうじゃない限りは何も起きないしされないから。
そんな事であやかし同士の紛争とか起きて堪るかって話だ。
「とにかく菖蒲。間接的でも鬼龍院家に喧嘩を売る様な真似だけはするなよ。花梨も…あんな姉とはもう会わなくて済むんだ。お前は俺の花嫁、妖狐一族の繁栄となる希望の花嫁。
勿論、あやかしの本能だけじゃない。俺は本気でお前を心から愛している。だから…俺の傍から離れないでくれ。鬼龍院家に何を言われようと…」
そう言って瑶太は私を優しく介抱する。
もう何度も抱き締められ、甘い言葉を囁かれ、その度に調子に乗って心躍らせていた私だけど…
「………ええ」
私は…前世の記憶を取り戻し、これまでの自分の行いにどう償えるのか必死で…
こんな私があやかしの花嫁に相応しいかと言われたら、絶対にそうとは言えない。
前世で、私は人を大事にしなかった。出来なかった。
締め出されたとはいえ、朝が来るのを待てば良いものを勝手に外をふらついて、事故に合って…
大切な姉を、残して死んでしまった。
前世も現世も、私が犯した罪の数々やその重さを考えたら…幸せになるのはどうしても考えられない。
私に出来るのは、今の姉である柚子の幸せを願い、それを阻害する者達を止める事。
両親から一刻も早く離れて自立する事。
花嫁の権利を剥奪される未来が避けられなかった時の為に、色んなスキルを身に付ける事。
そして……
「ねぇ、もうすぐ移動教室だから急いだ方が良いかも」
「あぁ、そうだな」
「確かに!早く行かないと…あの先生怖いのよね〜」
規模が大き過ぎて豪華とは言えど、ここは歴とした高校。学び舎だ。
…少しでも良い。前世では出来なかったけど、色んな経験を真面目に取り組まなきゃね。
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シャリファ(プロフ) - はい瑶太がなんかやらかすフラグ‥もう原作もしも花梨が改心してもあんま意味なかったかもですね (2月13日 8時) (レス) @page33 id: 8b3e245298 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» もちろん、わかっています。後のお楽しみっていうのがありますし。 (2月13日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» 一先ず両親が原作通り地獄に堕ちるのは確定です。瑶太と菖蒲と後何人かにはどんどん破滅・地獄フラグを建たせていく予定です。それが各々フラグが折れるor破滅ENDを迎えるかまではまだ言えませんすみません。 (2月13日 2時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» まぁ、そうですね・・・。改心してくれればそれでいいです。瑶太は両親と共に地獄に堕ちて欲しいですけど。 (2月12日 23時) (レス) id: 211f054fc3 (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» ご丁寧にありがとうございます。茉莉に関してはこの後重大な鍵を握るキャラではあります。確かに茉莉は頼もしい設定ではあります…が、今言えるのはそれだけです。尚、花梨の友達・菖蒲に関しては瑶太と共に痛い目に合う予定です。友達想いの妖狐女子だとは思いますが。 (2月12日 21時) (レス) @page31 id: 063141ba5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷柱 | 作成日時:2023年12月7日 14時