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「…そうか、すまなかった瑶太君。柚子と花梨が我儘ばかり言って、君に迷惑をかけたね。そういう事なら…」
私を抱き締める瑶太だけど、その表情は苦しそうだ。
鬼の一族の恐ろしさを良く知る妖狐の一族。
あんまりにも私の両親が温厚無知故に、再び狐月家を…今度は更に上乗せで多額のお金を援助だなんて。しかもそれに対して、遠慮も何もしないなんて…
「花梨」
父親が、私の名前を呼ぶ。
…それはどこか冷徹というか、他人の名前の様にも聞こえる。
「柚子が帰って来るまで、瑶太君を手放すんじゃないぞ」
「鬼龍院からの援助が得られる様になるまで、花嫁を辞退しないでよね」
「……毒親」
聞こえない様に呟く。
本当、私は親に恵まれない。
親ガチャ失敗なのは、子供の性格に問題有りだのなんだの言うけど
こっちは好きで生まれた訳じゃないし、親は選べないんだよ。
愛情もお金も準備出来てから、子供を産めよ。
愛する気がないなら、お金しか興味ないなら、最初から産むんじゃないよ。
「花梨…大丈夫か?」
瑶太も、流石に無茶難題を言われて疑問を抱き始めたのか、両親に疑心暗鬼の目を向ける。
両親はどうしたら柚子を戻せるか云々で話し合っている。
欲望に満ちた目だ。まるで獣だ。守銭奴だ。疫病神だ。
「平気」
「そうは見えない、それにその傷…あの方が…!今すぐに」
「私の方から「消さなくて良い」って頼んだの。だから今は放置して。お願い」
瑶太は何故か痛そうな表情になる。
私は大丈夫だって言ってるのに…
「花梨」
「何?」
「必ず幸せにするから…花嫁を辞めるだなんて言わないでくれ」
それは…あやかしの本能?
それとも、鬼龍院が怖いから?
分からない。どうやら私は、思っている以上に冷酷な女みたいだ。
瑶太、有難う。
でも、この世界は花梨を幸せにする為に作られたんじゃない。
孤独な日々を過ごした柚子を幸せに満たす物語。
それがこの世界「鬼の花嫁」なのだから。
柚子の幸せを奪う者は、例え好きな人でも、例え自分自身でも、許さない。
______
〈side 瑶太〉
花梨の事ばかりで、あの両親の異常性に気付かなかった。
否、気付こうともしなかった。
花梨さえいれば俺はそれで良かったから。
そう、花梨だ。
花梨は俺の花嫁だ。
俺の花梨に傷を付けたあの男も
俺の花梨を唆したあの女も
例え全てを敵に回しても
俺の花梨を悲しませる者は、誰であろうと許さない―――
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氷柱(プロフ) - 真理さん» 姉妹の両親に関しては、原作でもスカッとしましたが、あれ以上に色々とやりまくる予定です。もう本当許せませんもん。しかし瑶太に関しては賛否両論覚悟ですが、救済措置を与えようか考えています。まぁこの後ドキツイお仕置きを受けて痛い思いをさせるのは確定ですが。 (12月6日 23時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» スカッととクズ共(両親と瑶太)地獄落ちの末路、期待していますよ(ニヤリ) (12月6日 21時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» コメント有難うございます。原作でも、家族の縁を切ったにも関わらず柚子に迫りましたからね…ある意味どんな幽霊や妖怪よりも恐ろしい人間です。 (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - シャリファさん» 勿論瑶太は色々とやらかしてますが、更に原作と違って、玲夜の花嫁だと知った上で柚子を害そうとしましたから、それはもう恐ろしいなんてものじゃないですね… (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - こんな奴らと、早く縁を切ってほしいね。 (12月5日 20時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷柱 | 作成日時:2023年7月30日 0時