転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。壱

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「瑶太君…先程の男はどういう者なんだい？鬼龍院と名乗っていたが本当なのか？」

「…ええ。本当です。あの方は鬼龍院玲夜様。あやかしの頂点に立つ鬼のあやかしです」

「そんな方が、柚子を花嫁に!?」



…驚きよりも、喜びの声を出す母親。
あぁ、知ってるよこの声。

前世でも容姿端麗で金持ちの男に告白されて舞い上がり、私とお姉ちゃんを追い出して部屋でイイコトをしていたあの母親。

この女も、柚子が良い物件をゲットしたと喜んで、金を摂取しようと企んでいるのか。


柚子に散々我慢を強いて、良く喜べるよね。




「…噂で良く聞くよね。何もかも優秀だけど、冷酷だって」

「ああ。目の前で人が行き倒れていても道端の石ころのように通り過ぎる様な方だ。きっとあの方が甘くなるのは…花嫁にだけだ」

「なら、お姉ちゃんを花嫁に選んだのは本当ね。あんなに幸せそうな声でお姉ちゃんの名前を呼んでいたし」

「でも、まさか…そんな」

「…おかしくはないわよね。瑶太が私を選んだように、あの方も花嫁を選んだだけだし」



それに、私がどうこう言える筋合いはないからね。

けれど……



「貴方。柚子をどうにか家に戻せないの？養子縁組だなんて…あの子は私達の娘なのに」

「だが既にサインをしてしまった」

「今まであの子を育ててきたのは私達よ。あの子だって今は意地を張ってるだけで」



育てて貰った恩をちゃんと分かっているはずよ。
ちょっと花梨に嫉妬してるだけなのよ、きっと。

そう続ける母親の…欲望に満ちた声色に、吐き気を催す。



「瑶太君、何とかならないか？」



「―――瑶太に無茶言わないでよ」



私は、自身の吐き気を言葉に変えて、両親に反発した。



「もうお姉ちゃんは、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんの子供になった。ここにいたって、お姉ちゃんは幸せになんかなれない。私達が不幸にしてきたの、まだ分からないの？」

「花梨、もういい加減にしないか」

「そうよ。それに…貴女はそもそも、もう花嫁を辞めるのでしょう？貴女のせいで、私達は生活出来なくなるかもしれなかったのに…そうなる前に、鬼龍院家からの援助……」



「…花梨は、俺の花嫁です！」



瑶太が、高らかに宣言した。



「援助金は…今まで以上にお渡しします！ですから、これ以上鬼龍院家と関わるのだけは！それに、何より花梨と離れ離れになるのは嫌なんです！」



瑶太が、土下座をして両親に頼み込む。



「ちゃんと花梨を幸せにします、だから……！」

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