この“幸せ”の物語は ページ46
お祖父ちゃんと暫く会話をしていると、足音が聞こえる。
お姉ちゃんとお祖母ちゃんだ。
玲夜は柚子に再び優しく語り掛ける。
「柚子。荷物はそれだけか?」
「はい…それより玲夜…あの人は大丈夫なの?」
お姉ちゃんが気にしているあの人とは…未だに意識を失っている瑶太の事だ。
両親は…私とお祖父ちゃんの会話が終わり、玲夜と高道に睨まれた後我に返ったのか、瑶太の姿を改めて見て呆然と立ち尽くしてる。
私も私で、そんな瑶太を少し離れた場所から見るしか出来ないでいる。
「問題ない。少し霊力をぶつけただけだから気絶しているだけだ」
あれで少し…か。
「火傷もあの程度。狐程のあやかしならすぐに回復する」
強いあやかし程、治癒能力も早いのだろう。
にしても妖狐の…しかも上位のあやかしを気絶…恐ろしい。
「俺の柚子に怪我をさせたから、ちょっとした仕置きだ」
うん、それは大正解です玲夜さん。
私も漫画を見て瑶太に対して「お前が燃えてしまえ!」と何度思ったか…
そー…っと、遠巻きではあるがお姉ちゃんは瑶太の顔が良く見える位置に移動する。そこには私もいる。
…近付いてくれるだけでも、少しだけ嬉しい…かな。
「生きてる……よね?」
「…うん。呼吸も安定してるし、肌は段々再生されてるから、もう少ししたら目覚めると思う」
「とても全身炎に包まれたとは思えない…」
「私も正直驚いてる…私達とは体の作りが違うんだろうね、やっぱ」
お姉ちゃんが「良かった」と安堵の息を吐く。
こんな男に良かった、なんて…思わなくて良いのに。
「あのさ、流石にお人好し」
「でも」
「私も人の事言えないけど…お姉ちゃんにあんな酷い事をしたんだよ。これくらいは当然だと私も思う」
「花梨…」
ふと、お姉ちゃんはハッとした表情を浮かべる。
「花梨…腕!」
「…触れたのは一瞬だけだから、全然痛くないんだよね。ほら、日焼けの痕が残ったくらい」
「そう、なの?」
「そうだよ。だからお姉ちゃんが心配する事はないから。まぁ…今回の瑶太やウチの件は、妖狐の当主様に伝わるだろうけど」
「えっ?当主?」
「鬼の一族の当主が鬼龍院家の様に、妖狐の一族にも当主がいるの。その人から直々に制裁は下されるかも」
「えぇっ」
「元妹の言う通りだ、柚子」
玲夜が後ろから声をかける。
「まぁ最も、今この時より赤の他人となった以上は、柚子に危害を加えなければ何もしないがな」
何もしない、ねぇ…
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氷柱(プロフ) - 真理さん» 姉妹の両親に関しては、原作でもスカッとしましたが、あれ以上に色々とやりまくる予定です。もう本当許せませんもん。しかし瑶太に関しては賛否両論覚悟ですが、救済措置を与えようか考えています。まぁこの後ドキツイお仕置きを受けて痛い思いをさせるのは確定ですが。 (12月6日 23時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» スカッととクズ共(両親と瑶太)地獄落ちの末路、期待していますよ(ニヤリ) (12月6日 21時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» コメント有難うございます。原作でも、家族の縁を切ったにも関わらず柚子に迫りましたからね…ある意味どんな幽霊や妖怪よりも恐ろしい人間です。 (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - シャリファさん» 勿論瑶太は色々とやらかしてますが、更に原作と違って、玲夜の花嫁だと知った上で柚子を害そうとしましたから、それはもう恐ろしいなんてものじゃないですね… (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - こんな奴らと、早く縁を切ってほしいね。 (12月5日 20時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷柱 | 作成日時:2023年7月30日 0時