転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。壱

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「……花梨。無駄な事はするな」



お祖父ちゃんが重い口を開く。



「お前がどういうつもりで柚子を庇うのか、両親を今更非難するのか、自らの行いに反省したのかは知らん。だが、お前の言葉が伝わらないというのは……」

「……そう、ね」



諦めも肝心。
諦めるのが嫌いな人間には、断腸の思いという諺が似合う。



「……お前達が散々溺愛してきた花梨がこれ程言っても、まだ分からないのなら、俺達はもうお前達に何も言わん。それに、今日は俺達は柚子を引き取りにここに来た。それだけだ」


「…柚子っ！お前はどう思っているんだ!?」




少しの沈黙の後…




「……私はお祖父ちゃん達の子になる。ここにいたら私は幸せになれない」




お姉ちゃんは、そう答えた。



これは当然の応え。
長い戦いの帰結。




しかし、それに納得していないのは、流石の毒親というべきか。




「この親不孝者がっ!!」




そう言ってお姉ちゃんを叩こうとする父親。
しかしそれを止めたのは…鬼龍院玲夜。




「な…何だ貴様はっ!?」



鬼龍院家の者と知っているのに、そんな彼に貴様とか…
この父親も、気に入らない事があると弱いものを責めたり叩いたりするからな…




そんな訳で、玲夜に睨まれた父親は、呆気なく突き飛ばされる。




それに激怒した両親は、再びお姉ちゃんを責める。




考えた事ないだろうな。
お姉ちゃんは、最後の最後まで迷っていたというのに。




もし私の言葉で罪悪感が少しでも芽生えれば、養子縁組は免れないにしろ、お姉ちゃんを苦しめた自分達を恥じて反省して……破滅なんてしなかっただろうに。




最も、私自身も、あの両親と同じことをした。
記憶を取り戻したとしても、結局は私の意思でお姉ちゃんを傷付けた。




……これが序の口だなんて、中々キツイよなぁ…




玲夜は、両親にサインを促す…というか強制させる。
害悪になるものは、お姉ちゃんには必要ないと言わんばかりに。




瑶太はカタカタと震えてばかりだけど、何も言わない方が身の為かもね…




「おい、柚子の“元”妹」

「え？」



元…まさか玲夜の方から私に話しかけるとは思わなかった。
何だろう…まぁ、大凡察する事は出来るけど。




「お前もそこの両親と同じだ。お前は長年柚子を散々傷付けた。それは一生許されない罪だという事を忘れるな」




そして




「俺は、柚子を傷付け苦しめる者は許さないからな」



私はゆっくりと頷く。

…それは重々承知の上だもの。

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