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どうしたのだろう、と思い聞き耳を立てると…
「花梨の祖父母とはいえ気に食わないな。あの女が花梨を叩いたのは事実。何故あの女を庇う?」
「!」
声を聴いただけで、私は全身から血の気が引くのを感じる。
瑶太
あの日、私を
そんな私に、玲夜は抱き締め…背中を擦ってくれる。
いけない…怖がってちゃダメだ。
怖がる為に、ここに来たんじゃない。
「……瑶太!」
花梨が瑶太を…非難する様な声。
それにしても…花梨、あんなに瑶太を愛していたのに、どうしたんだろう…
「花梨。あの女を無理に庇う事はない。あの女は…然るべき報いを受けた。あれだけでは俺としては気が済まないがな」
少しばかり様子を伺っていたけど、これ以上長くなってはいけない。
むしろ…悪化を辿る一方だ。
私はリビングの中に入る。
「……お姉ちゃん!」
「…花梨」
花梨…
驚きと心配そうな表情は感じられるけど
そこに悪意は全く感じられない。
そして…玲夜とは全く違うけど
何度も感じるけど、居心地の良い温もり
「柚子!!」
「ああ…怖かったわね」
「無事で良かった…柚子」
「お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、心配かけてごめんね」
そうだった。
いつも抱き締めてくれるのは母ではなく祖母。
良かったと安堵の表情を見せてくれるのは父ではなく祖父。
迷いは、断ち切る。
もうとっくの昔に両親は両親でなくなっていたんだ。
「お姉ちゃん」
「!」
花梨は私を呼ぶと、小さく頭を下げる。
「……お姉ちゃん。これで分かったでしょ?この家に居場所がないって意味も……そして、この2人は…確かに私の両親だけど、お姉ちゃんの両親にはなってくれない事が」
「花梨!」
お祖父ちゃんが、花梨を責める様な声で荒げる。
けど、花梨のそれは私を傷付ける様な発言ではない。
「うん……今、貴女の言葉の意味が理解出来た。いえ…信じたくなかったし、認めたくなかっただけ」
「…それなら良いの。私が言うのもなんだけど、ここにはお姉ちゃんが幸せになれるものは1つもない。私が全部奪ったから」
「……」
「それよりも、今日ここに来たのは、こんな不毛な争いを見物しに来た訳じゃないでしょ?」
「うん…今日ここに―――」
そう言いかけて、両親は私に対して怒りの表情を見せる。
「お前…どういうつもりだ!何を考えている!花梨に何を言った!」
「今すぐ花梨に謝りなさい!貴女が全部悪いのでしょう!?」
え……?
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氷柱(プロフ) - 真理さん» 姉妹の両親に関しては、原作でもスカッとしましたが、あれ以上に色々とやりまくる予定です。もう本当許せませんもん。しかし瑶太に関しては賛否両論覚悟ですが、救済措置を与えようか考えています。まぁこの後ドキツイお仕置きを受けて痛い思いをさせるのは確定ですが。 (12月6日 23時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» スカッととクズ共(両親と瑶太)地獄落ちの末路、期待していますよ(ニヤリ) (12月6日 21時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» コメント有難うございます。原作でも、家族の縁を切ったにも関わらず柚子に迫りましたからね…ある意味どんな幽霊や妖怪よりも恐ろしい人間です。 (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - シャリファさん» 勿論瑶太は色々とやらかしてますが、更に原作と違って、玲夜の花嫁だと知った上で柚子を害そうとしましたから、それはもう恐ろしいなんてものじゃないですね… (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - こんな奴らと、早く縁を切ってほしいね。 (12月5日 20時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷柱 | 作成日時:2023年7月30日 0時