転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。壱

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〈side 柚子〉


妹の花梨が妖狐の花嫁に選ばれて

それまでも花梨ばかり贔屓していた両親は、更に花梨だけを構う様になり

とうとう家の全てが、花梨中心になった。


それでも勉強や家事、何もかも両親と花梨の望む様にしていれば
いつか、振り向いてくれるんじゃないかと願っていた。


叶いもしない願いを、私は望んでいた。


…寂しかった。
…苦しかった。

何より……愛して欲しかった。



そんな時、玲夜に出会った。
鬼龍院玲夜。
鬼はあやかしの中で最も強く、そして美しい。
更に鬼龍院家は、人間もあやかしも含め、日本のトップに立つ家柄。



そんな人がどうして私を…とは思ったけど
家柄とか強いとか美しいとか、それよりも



この人なら、私を愛してくれるかもしれない……



信じて、良いのかまだ分からないけど…そう思えたのだ。




そんな時、私の中でもう1つ信じられない事があったのだ。




ワンピースを台無しにされ、瑶太に腕を燃やされ、限界を迎えたあの日から一夜明けた朝




花梨から1件の着信があったのに気付いたのだ。




今までが家の中心人物だった花梨。
…私を見下した妹。
家では、花梨の為に従順になるしかなかった。


そんな、花梨が、私に？
まさか私を心配してくれて…？
そんな訳ない…よね。



だけど…




私が無理を言って花梨に荷物を届けさせたあの日




花梨の目は、緊張と動揺…不安気なものに感じられた。
これまで冷めた目でしか私を見なかったから、どうしたら良いか分からなかった。

そして……私があやかしの花嫁に選ばれたと知っても、私を馬鹿にする訳ではなく
むしろ、あやかしの花嫁についてちょっと教えてくれたのだ。

私を気遣ったくれたのか、言葉を選んでいる様だったのも印象的だ。




私が家出したのも、ワンピースの件も、叩いた事も、何1つ責めなかった。
むしろ私の居場所がないあの家を、両親を、責める発言をした。

そして…その後は苦しそうに、初めて私に謝ってくれた。

それだけで、私は花梨に対する気持ちが変わりつつある。



結局、荷物は瑶太によって川に落とされたけど…
その時も、花梨は瑶太を責める様な目で見ていた。




……花梨。私は…どうしても両親と一緒に居ても「幸せ」を感じるなんて絶対に出来ない。
申し訳ないけど、花梨に対してもまだ疑っている。私に対して同情をしているのではないかと感じてしまう。



それでも…私にとっては、たった1人の妹だ。
貴女を、信じても良いのかな…

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