転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。壱

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〈side 瑶太〉


少し前までは暗い顔していた花梨だったが、彼女の祖母と会話をした事で幾分か元気を取り戻したので本当に良かったと思う。



―――……まぁ、祖父母は全面的にあの女…花梨の姉の味方だという点が気に喰わないが。



俺の従妹であり、花梨の親友である菖蒲とも会えたのは幸いな事。



しかし……それでも花梨は終始考え込む素振りを止めなかった。



……あの女、俺の花梨をこんなに悩ませるなんて……今までは大人しく従順だったのに、花梨を叩いて泣かせておいて、まだ花梨を苦しめるのか……！



許さない……これ以上花梨を傷付けるなと忠告したが、花梨が姉の事で頭を悩ませているのなら話は別だ。



何としても、花梨の中にいるあの女の存在を消さなければ……！



しかし……あの女。

花嫁を外へ…橋の下に呼び出しただけでも許し難いし、花梨を拘束したという事実だけでも虫唾が走る。

だからこそ後回しにしていた疑問だが…あの女、妙に気配が変わった気がするな…



まぁ良い。俺の花梨を傷付ける奴は誰1人許さない事に変わりはない。
有り得ないとは思うが、仮に何処ぞのあやかしに見初められたとしても、そんな事はどうだって良い。

そもそも、あんな女を選ぶあやかしがいるとして、どうせ下流…大したことのない弱小に決まっている。



……花梨を家まで送ると、何やら花梨の父が電話越しで誰かと揉めていた。
聞けばあの女の件で、祖父母が家に伺うと言う。

花梨はそんな光景を見て悲しそうな顔を浮かべる。




明るくて、愛想が良くて、笑顔が絶えない花梨。
俺と違って、ハッキリと意思を持って振る舞う花梨。
俺の為に何でもしようと一生懸命になる花梨。

俺が少し落ち込んだだけでも、元気になるまで傍にいて励ましてくれる花梨。




あの女……花梨にこんな表情をさせるなんて…

どうやら、あの制裁だけでは足りないみたいだ…

こうなったら、二度と花梨の目の前に現れない様にしてやる……！




＿＿＿＿＿＿
〈side 花梨〉



明日は、いよいよ柚子が祖父母の養子となるべく手続きをする。
確実にその方が良い！むしろあんな父母の子でいるのは苦痛過ぎる！

そうなると、もう柚子と私は法的に姉妹関係ではなくなるけど…
まぁ、妹に毎日の様に使用人扱いされたのだ。私の方から姉妹関係を切り捨てた様なもの。



柚子の幸せを願うのは当たり前だけど、私に出来るのは「花梨の様な真似はしない」事だけ。

実質、出来る事はなにもない…か。

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