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私はお姉ちゃんの部屋に入る。
次の瞬間、お姉ちゃんから返信が来た。
「ふむ…制服に教科書にスクールバックに体操着に…バイトの制服っと…」
学校やバイト関連の物を一通り纏める。
念の為他のものも聞いてみたけど「それでいいよ」とだけ返信が来た。
「……」
私の部屋と比べて、本当にお姉ちゃんの自室は殺風景だ。
必要最低限の物、それだけだ。
「花梨、何をしているんだ?」
「え?」
振り返ると、瑶太が扉の前で立っていた。
「…どうして、姉の部屋なんかを」
「あ、瑶太…その、お姉ちゃんに会いに」
「何故?あの女の事なんか……」
「ちょっと、あの女って……!」
……いけない、感情的になっては。
そもそも私は怒れる立場じゃないんだから!
「……お、お姉ちゃん、次に住む場所見つけて……学校もそこから通うの。だから荷物を届けに」
「………花梨を傷付けただけじゃなくて、召使の様に手を煩わすとは……あの制裁だけじゃ反省していないようだな、あの女は」
「っ……!!」
あやかしは、恐ろしい。
人間と違って、些細な怒りでさえもその場の空気を瞬時に変える。
それに人間と違って「能力」を持つのだから……その気になれば、一瞬で命を……
「……瑶太。本当にやめて」
「…何故だ、花梨」
「―――私、瑶太にこんな真似して欲しくないんだけど」
けれど、それを抑えるのが「あやかしの花嫁」だ。
「それに、瑶太…貴方と…それにお父さんとお母さんにも言わなきゃだけど、先に手を出したのは私なの。私がお姉ちゃんの大切なワンピースを酷く馬鹿にして、それを破いた。
それを、私はゴミ箱に捨てたの。だから…お姉ちゃんは怒ったの。お祖父ちゃんとお祖母ちゃんの気持ちを踏みにじる大切なワンピースを……
もし一部始終を映像にでも何でもして再現出来れば、悪いのは―――」
ふわり、と温もりに包まれる。
「えっ、瑶太……!?」
「花梨、お前本当にどうしたんだ……?」
瑶太が優しく私を抱き締める。
いや、どうしたって、むしろ貴方がどうしたの!?
……ま、まぁ、ドキドキはするかしらね。
記憶を取り戻す前の花梨だって、瑶太に対して胸を熱くさせてたし。
けど…忘れてはいけない。
―――この馬鹿狐…!よくも嫁入り前の乙女の腕を燃やしやがってーーーー!!
「お前を悲しませるものはもういない、関わらないで良いというのに」
今一番関わりたくないのはアンタだーーーー!!
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氷柱(プロフ) - 真理さん» 姉妹の両親に関しては、原作でもスカッとしましたが、あれ以上に色々とやりまくる予定です。もう本当許せませんもん。しかし瑶太に関しては賛否両論覚悟ですが、救済措置を与えようか考えています。まぁこの後ドキツイお仕置きを受けて痛い思いをさせるのは確定ですが。 (12月6日 23時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» スカッととクズ共(両親と瑶太)地獄落ちの末路、期待していますよ(ニヤリ) (12月6日 21時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» コメント有難うございます。原作でも、家族の縁を切ったにも関わらず柚子に迫りましたからね…ある意味どんな幽霊や妖怪よりも恐ろしい人間です。 (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - シャリファさん» 勿論瑶太は色々とやらかしてますが、更に原作と違って、玲夜の花嫁だと知った上で柚子を害そうとしましたから、それはもう恐ろしいなんてものじゃないですね… (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - こんな奴らと、早く縁を切ってほしいね。 (12月5日 20時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷柱 | 作成日時:2023年7月30日 0時