《文スト》ボカロストレイドッグス

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腕時計で時間を確認しある人が来るのを其処らにあった木箱を丁度、月が見える角度に木箱を移動させ腰掛けた。

今宵は満月
闇の者も光の者も照らす清き月。

満月を見ているとあの子も見ている気がして嬉しくなる。手を月に翳して明かりを拒む。私がこうやって人を殺めている間あの子は武装探偵社で元気にしているかな。虎の子 敦君。


「ヨコハマを照らす満月。
虎の子をどうか守ってあげて私は守ってあげられないから」


目を閉じてそう云ってみると敦君が笑っている姿が見えて本当に月の加護があるような気がしてなんとなく気持ちが軽くなる。


「行くぞ」


目を開けて後方を確認するが暗くて余り見えない。けれども彼だろう。後ろから聞こえたのは敦君が嫌う龍之介君でもあり私の同僚。

裏切り者の太宰さんに私と龍之介君は一緒に育てられた。其れは幼馴染みと云っても過言では無い程に。

後ろに体制を変えて外套のポケットから手帖を出すと次は潜入捜査、今から一週間は龍之介君にも会えずにエリス嬢にも会えない事を考えると迚も億劫になる。

少しずつ近付いてくる龍之介君が月の光が届く場所迄来ると止まると私の顔を見た。


「貴様と僕達は闇の者、月の下で照らされて生きて行けない。然し、太宰さんは違った。
太宰さんは、太宰さん成りに考え闇の者から光の者に成った。
貴様は………光の者に成りたいと思っているのか」

強い眼差しで私を見据える。だが、その表情には何処か悲しく見えて胸の奥が苦しくなった。

私が光の者に成りたいと思っている、か………
成りたいとは思わないと云ったら嘘に成る、だが、この状態で龍之介君を残す訳にはいかない。

より、精神状態においても不安定になり何時かは狂ってしまう。
其れを止めるのが私の役目であり出会った時の運命。

「私はずっと闇の者に成り続ける。
其れが私の役目であり出会った時の運命。

だから、私は闇の者であり続けるわ
そして、貴方の傍にずっと居る事を誓うわ。」


すれ違い座間にそう告げると足早にその場を消えた。求婚(プロポーズ)紛れな事をしてしまった事と次の潜入捜査に向けての準備があるためだ。


満月が暗い倉庫を照らす中、黒獣が一人妖しく笑ったのはもう一人居た操り骸骨師には気付かない侭夜は過ぎ去った。

・ イラスト→←壱頁目 《骸骨楽団とリリア》

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