すなおになりたい【歌い手】 (ページ27)

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みどりのこっぷページ27

べたべたあまあまな彼氏と

好き好き言われるとなんかうざったくて

ぶん殴りたくなる私の性格は真反対である。

「ん"っ…」

いつもは私より起きるのが早い彼…わたるも

流石に今日は起きるのが遅くて

あまり見れない寝顔には愛おしさを感じて

手元にあったスマホでぱしゃり。

早速ロック画面に設定してにんまりしながら

痛む腰に歳を感じながらむくりと起き上がる

部屋の中に舞ったパジャマやらを拾い集めて

ついでにと彼の分も拾って畳んで枕元に置いた

お揃いやらなんやら何かと甘い日常と

何処ぞの少女漫画のように優しすぎるスパダリ彼氏のわたる

まだ眠くて覚醒しない頭をどうにかしようと

コーヒーミルを出して無心でお気に入りの豆をぐるぐるする

フィルターにかけてティーポットに

いい感じの湯気と香りをたてて完成した珈琲を

コップに注ごうと戸棚を開ける

たぬきとねこが描いてあるみどりのこっぷが

こちらを見ていて、少し背伸びをしてそれを取った

幼馴染の私たちが恋人になって初めて買ったそれは

成人を超えた今でも大切にしている数ある宝物の1つで

大切にしすぎたあまり使わずに奥に仕舞われていたからか

こちらをつぶらな瞳で見つめるたぬきが何処か懐かしかった

猫の自分のこっぷには珈琲を注いで

ひとくち、ふたくちと堪能しながら

空のたぬきを眺めていたら

ぎゅっと後ろから抱きついてきたたぬき

「ん"ん"っ、、おはよ。カラダ大丈夫？」

『おはよ、腰痛いから湿布買ってきて欲しい。珈琲今入れてあげる。』

「ありがと。珈琲飲んだらすぐ買いに行くわ待ってて。」

『そんな急がなくてもいいよ。まぁまぁ動けるし』

「なんか余裕そうじゃん」

『はぁ？』

「昨日はやだやだって可愛い声沢山出して啼いてたのに」

『忘れろ。だまれ、てか離れろ邪魔』

コアラのように離れないわたる。お願いだから除け。邪魔だ

「口わっっる。お前は黙って俺に啼かされとけばいいの。」

『うっっざい!!!黙って珈琲飲んでろ。たぬきめ』

みるくたっぷりシロップたっぷりのわたる専用の珈琲

というかカフェオレをあのこっぷにいれて手渡した

ソファーで飲もうとしたのか離れていく背中が

少し寂しくて咄嗟にぎゅっと抱きついた

「うっわ、お前天才」

『ぇ？』

「やることなすことぜんぶかわいすぎるわ。ベット戻ろ」

『は？何言ってるの？馬鹿言うな』

「きこえませーん。」

このまま強引にお姫様抱っこされてGO…(遠い目)

__みどりのこっぷ