きいろのごかい ページ25
流行病は収束という文字を知らない
感染爆発、感染者何万人という文字
どんどん出てくる新型のウイルス
医療逼迫、学級閉鎖…えとせとら
テレビで毎日のように聞き飽きるほど耳にするその文字列
普段通り嫌々学校に行って、ぽつりぽつり穴が空く席を
1番後ろの窓際の特等席から眺めて
壁によりかかりつつ眠気とバトルしながら
授業をゼロ限から8時間みっちり受けて帰る
その繰り返しのはずだった…
でも、ウイルスの魔の手は私のすぐ後ろにも迫っていた
昼食後満腹感が呼び寄せた睡魔にしっかり負けて、
生物の授業は1時間みっちり私のお昼寝タイムに成り代わった
6時間目の終了のチャイムと共に目が覚めて、
その瞬間鳴り響いた職員全員緊急招集のアナウンス
期待を込めたクラスメイトの喜びようは
7時間目が消滅することを暗示していた
7限目の始業のチャイムが鳴っても
まだ先生が来る気配はなく、みんな自由に席を離れていた
結構大きめなこの校舎に備えられたエレベーターが
当該の階にたどり着いたと知らせて、少しすれば
カツカツと響くヒールの音
水を打ったようにクラスメイトはあっという間に席につき
何事も無かったかのように前を向く
「皆さん、残念ですが感染者の濃厚接触者の特定が難しいため、今日の授業はここまでです。帰る準備をしてください。明日はオンライン授業に変更です。全ての教材を持って帰って、寄り道は絶対にしないで直帰して下さい。」
その言葉でみんなロッカーに荷物を取りに行く
いつもタブレットと弁当くらいしか入ってない軽かった通学バックは
教材がびっしりで信じられないくらいの重さになった
「さようなら」
連絡事項を終えて帰りの会が終わる
どんどん人が減っていくクラスルームで
ひとりぽつり
『…多分まだお仕事だよね、、』
いつも迎えに来てくれるセンラくんは
サラリーマンと歌い手を兼業している
忙しいはずなのに、ちゃんと定時で帰って私のお迎えをして
一緒に帰路に着く
只今、15時。定時まであと3時間…
「Aちゃん!!一緒帰る?」
『ぇ、あ、え、いいの?』
「いつもの時間じゃないしお兄さんのお迎えないんでしょ?むしろ私、Aちゃんと一緒帰りたい」
『あ、ありがとう』
そう、私の彼氏センラくんは
何故か学校の友達に私のお兄ちゃんと誤解されてます
私のお兄ちゃんこんなにスパダリじゃないようぅぅ
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