きいろいふとん ページ14
頭まで被って、
お腹の中にいる赤ちゃんみたいに
くるりと縮まって布団にもぐっているわたしのみみに
微睡みを邪魔する機械的な音が聞こえる
ピピピと今も尚うるさく存在を主張するそれは
忌々しくてたまらなくて、
隣でまだ寝ている彼を気にすることも無く
布団から手だけを出して探るようにして
勢いよくそれを止めた。
まぁ5分後にスヌーズ機能とやらで
また私の眠りを邪魔するんだろうけど…
「…んっ、何?」
と朝から色気たっぷりの声が耳元でして
あ、やってしまったと今更気づいた
『うるさいアラーム、止めた』
だがしかし、まだ覚醒してない
むしろ、半分寝ているような私の脳に
何をしても端的な可愛さや気遣いの
欠けらも無い返事しか出来ないのだ
「そ、今何時なん。」
ちなみに寝起きの彼も今の私と状態は同じである
『わかんない』
ぎゅっと後ろから抱きついてきた彼の方を向こうと
方向転換をしようとすれば、抱きしめる力が強くなって
動けなくなって諦めてじっとしていれば
私の髪を梳くって、うなじにキスをする
びっくりして後ろを向けばイタズラに微笑む彼
『ッ!!ばか』
「ばかやなくて、センラにおはようやろ?A」
『センラくんおはよ』
彼の腕にがっちりほーるどされれば
起きることは愚か動くことすらできない
アラームのスヌーズ機能がなっていた
静かにスマホの電源ごと切って
アラームをとめた彼はもっかい寝よやと笑った
休みだしいっかと目をつぶれば
安定期に入った私のお腹を後ろから撫でながら
ぱぱやでなんて話しかけているセンラくん
まだ名も無い小さな私たちの子が
ぱぱの声に反応するように少し動いた
朝というほど朝でもない。
でも、昼でもないような午前10時
夢の狭間のような微睡みのような幸せを感じた
__きいろいふとん
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