オトナリサン２ (ページ13)

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「…さっきの人は、知り合い？」

『講義が、偶に被るくらいで…。顔見知りでは、あったんですけど』

「…そ。俺達がマンション前に着いた時はもう既にAさんが壁に追い込まれてて。一瞬良い雰囲気なのかなーって思ったけど…、俺達の判断は間違って無かったね」

『…っ、本当にありがとうございました！あんなこと、初めてで…っどうすれば良いのか分かんなくて』

引っ込んだと思ってたのに、また涙が溢れ出す。

怖かった、このまま何かされるんじゃないかって思った。もしかしたら、もう二度と家族にも友達にも、平野さんにも会えなくなってたかもしれない。

『こわ、かった…ッ』

「＿＿Aさん」

頭を引き寄せられ、また平野さんの胸元へと顔を埋める。

「もう大丈夫、怖くない」

優しい声色が、優しい手が私を恐怖の闇から救ってくれる。

トクン、トクンと規則正しい平野さんの鼓動がとても安心出来て＿＿＿＿…

「＿＿＿まっっじでキモ過ぎ！なんやねんアイツ！」

「あれはヤバイね、若干警察の人も引いてたし」

突然空いた部屋の扉と聞こえてきた2つの声に、私と平野さんはバッと身体を離した。