オトナリサン２ (ページ12)

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＿＿エレベーターは静かな音をたてて私達の部屋のフロアに止まった。

「Aさん、俺の部屋に入るよ？」

『…ッ、ごめんなさい』

「色々と話聞きたいし、怖い思いしたAさんを1人に出来るわけないじゃん。だから謝るのはナシ」

強引だけど、未だに涙が止まらない私を気遣ってか優しく繋がれたままの手は私を少しずつ安心させてくれる。

斎藤くんに握られた掌が、今は平野さんの手に包まれていて。もう先程までの気持ち悪さは薄れつつあった。

「＿＿温かい飲み物が良い？落ち着ける？」

平野さんの部屋に入るのはこれで3度目だ。まさかこんな形で3度目を迎えるとは思ってもみなかった。

ソファーに腰を落とすと、平野さんも隣に腰を降ろした。

離された手に、少しだけ寂しさを感じてしまう私はどうにかなってしまったのかと心配になる。

『…何も、要らないです。ありがとうございます』

「ん、分かった」

呼吸を落ち着かせる私の背に平野さんは手を添えてくれた。