オトナリサン (ページ34)

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どうしたんだろう、と声を出したいけど自分の身体が鉛のように重く感じて重心を保てない。

「大丈夫、力抜いてそのまま寄り掛かってて」

お腹に回された腕に力が籠もり、自分の意識とは正反対にぐったりともたれ掛かってしまう。

「…ごめん、なさい」

「＿＿おい、紫耀！」

「…！あ、」

ハッとしたように平野さんがこちらへと駆け寄るのが視界の端に写る。

「身体熱いし、たぶん熱出てる。この時間帯病院空いてなさそうだからとりあえず部屋に連れて行こう」

「…分かった」

私、すっごく迷惑かけてる。

嫌だ、なんでこんなに言うこと聞かないの、話したいのに、自分の力で立ちたいのに。

熱のせいか目がじんわりと熱を持って無性に泣きたくなる。

でも、涙さえ吹き飛ぶ出来事がこの直後自分の身に起こるなんて。

「＿＿ちょっとだけ我慢して」

脚がフロアから離れ、私は平野さんにお姫様だっこされていた。