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Aと伊之助は言い合いをしながらも、森を散策し始めた。その後ろを炭治郎が付いてくる。二人の様子を見て苦笑いをしていると、手に違和感を感じた。


炭「…蜘蛛の糸?」

『…っ、それ早く取って!』

炭「…っ!?」


Aが声をかけた瞬間、炭治郎の腕は何故か引っ張られた。それを見て、Aはすぐさま糸を自身の武器で切った。


炭「すいませんっ。」

『大丈夫だよ。』


炭治郎はAの武器に目を移す。その手にあったのは「爪」だった。


炭「爪、ですか?」

『あ、そうそう!刀は慣れなくてね。』


そんな雑談をしていて、二人は足元に蜘蛛の糸が張り巡らされているのが分からなかった。炭治郎がいち速く気付いたものの、足は引っ張られ体制を崩してしまっていた。


炭「また糸か!」

『わっ!』


Aも足と手を糸に絡め取られ、四方に引き裂かれそうになる。そのとき、炭治郎の後ろの箱から、カリ…と音がした。


?「ムッ!」

炭「禰豆子っ!」


箱から禰豆子が飛び出し、糸を全て切ってくれた。炭治郎とAは無事に着地。(伊之助は先に行っています)Aは禰豆子の頭を撫でる。


『ありがとうね。兄弟?』

炭「はい、妹の禰豆子です。」

禰「ムムー。」














『鬼、なんだね。』


ふと、その言葉を発したA。炭治郎は身の危険を感じとり、禰豆子の手を引っ張った。だが…


『でも、血の匂いが全くしない。』

炭「…えっ?」

『私、鼻がいいんだ。後…

実は最初から気づいてたよ。背中の箱にこの子がいたの。』


炭治郎の困惑した顔を見て、Aは緩く笑う。


『きっと、何かしらの理由があって鬼を連れているのは何となく予想できたよ。だって君からは心をズタズタにされた、そんな匂いが、音がしたから。』

炭「俺たちを、信じてくれるんですか?」


少しだけ震えている炭治郎をAは禰豆子ごと抱き締めた。


『もちろん。君みたいな優しい子、始めて見たよ。』

優しい言葉をかけられて、炭治郎は一筋の涙を流した。

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作者名:水無月 歌乃 | 作者ホームページ:http:// kotatan  
作成日時:2020年3月21日 18時

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