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更衣室で着替えを済ませ、バッグからスマホを取り出して達央バレー部の検索をかける。
達央中、全国行ったのは去年の1回だけなんだ。てことは剛田ちゃんの代だ。
《⋯さて第3セットも後半に差し掛かり両方の選手ともに疲れが見えますね。》
《長く苦しいラリーが続きます。続いては達央がサーブを構え⋯》
「何それ、どこの試合?」
「剛田ちゃんの出身中の達央〜」
「全国とはよくやるな。」
更衣室にいた面々が俺のスマホに集まってきて試合を見る。
「お、この5番剛田じゃねえか?」
「ほんとだ。」
5番を背負った剛田は何やら苦しそうな顔をして相手のスパイクがどこに来るのかを見極めていた。
「…なんかすっげえ苦しそうじゃね?」
「フ、涙脆いらしいよ。堪えてるんじゃないかな。」
「ハハ、なんじゃそりゃ」
相手が打ったスパイクを剛田ちゃんが返した。と思いきや、剛田ちゃんではなくウィングスパイカーらしき人が相手のスパイクをレシーブしようとしていた。
しかし、ボールはそのレシーブの手から弾き飛びコート外へ行った。
「なんで剛田じゃな、…」
と、コートから勢いよく外れていくボールを、空中で剛田ちゃんがオーバーで上げた。
「「!!!!??」」
《おっとここで外れたボールをすかさず5番剛田がすくい上げます。》
《素晴らしいセットアップですね。》
《剛田はこの試合が初の公式戦ということで注目度も高いです。》
オーバーで上げられたボールを、達央のスパイカーが決めて会場はどよめいた。
素晴らしいセットアップ、なんてもんじゃない。
何あれ。
普通、強いスパイクをレシーブで受け真上に上げられなかった場合、そのボールは急速なスピードでコートを外れていく。
もちろんそんなスピードで外れたボールはもう取ることなんてできない。
できない、だろ…
思い起こす記憶の中の映像では、剛田ちゃんは相手のスパイクを拾う顔をしておきながら、立っていた場所はコートの線スレスレの場所だ。
つまり、コート外に外れるボールを 最初から 狙っていたということ。
そんなリベロ、いるのか…?
俺のスマホで試合を見ていた全員が、驚いた顔をしていた。
こんなの瞬発力、有り得ないだろというふうに。
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miu(プロフ) - 私バレーボール部で細かい事言っちゃうんですけど、あ、無視しても構いません。リベロは5番じゃ無くて6番リベロとか3番リベロとかで言いますよ。細かい事ホントすみません。長文失礼しました。 (6月2日 17時) (レス) @page7 id: 5473f4e886 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:⺮ | 作成日時:2023年5月27日 22時