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「…泣いて、る?」


「泣いてなど…っ!

…!?」


煉獄は泣いてなど無い、と自分の眼を擦りながらも、ハッと聞こえてくるはずのない声の主の方へ恐る恐る目を向ける。


「…A…!!」


眠っている筈のAが心配そうに自分を見つめている。


驚きのあまり目を見開きながら固まる煉獄に、Aはゆっくりと、その頬へ手を伸ばす。


自身の頬に触れた手は思ったよりも暖かく、Aが生きてここにいることを証明しているかのようであった。


同時に頬に触れる手の暖かさと心地良さに、煉獄は思わずその手を強く握りしめてしまった。


「…煉獄、痛い」


痛い、と言われ、ハッと掴んだ手を離す煉獄。


「すまない!!」


それはいつもの大きな煉獄の声であった。


「良かった、助けられた」


痛々しい程痩せ細り、真っ青な顔をしたAの口から出た言葉。


煉獄は先程まで、自分が助けられたことへの後悔をひどく恥じた。


「…うむ。

Aのおかげで生きている。

だが、俺のせいでAが…!」


煉獄がAの身を案じると、Aは少しだけ口角を上げた。


「私が、助けたかった、だけ。

煉獄、貴方に、私は救われた。

だから、貴方を、救いたかった」


俺は君を救ってなどいない、と口に出そうとしたが、目の奥から込み上げる何かを堪えることで精一杯であった。


「生きていてくれて、ありがとう」


Aの慣れない微笑みとその言葉に涙を堪え切れなくなった煉獄は思わずその場に立ち上がる。


「こ、胡蝶を呼んでくる!!」


それだけを言い残し足早に部屋を後にした。


急にいなくなった煉獄に呆気に取られながらも、起きてすぐ喋り過ぎたのか少し疲れたAはそのまままた眠りについた。



















生きていてくれてありがとう。


どんな姿であろうと、君がそこにいるだけで。

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さくら(プロフ) - カケオレさん» カケオレさん、コメントありがとうございます!少し忙しくなってしまい、土日しか更新が出来ないんですが、気長にお待ちいただけると嬉しいです! (2022年3月31日 23時) (レス) id: 8f829f7667 (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - 更新待ってます!頑張ってください! (2022年3月31日 14時) (レス) @page20 id: 661d0ebc5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら | 作成日時:2022年3月6日 1時

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