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宇髄が遊郭に向かってから、数日経ったある日のこと。


何やら蝶屋敷が騒がしかった。


どうやら宇髄達が上弦の鬼を倒したらしい。


だが宇髄は片目、片腕を失う大怪我を負い、他の者も意識不明で担ぎ込まれて来ていた。


また、上弦の鬼は倒したものの、遊郭で多くの命が失われたと聞いた。


そんな怪我人を前にして、胡蝶やAの様に医療に長けている訳ではないため、何も出来ない自分を歯痒く思うと共に、未だに全盛期の様に動かない身体を恨めしく思っていると、煉獄は無意識のうちにAの元へ足を運んでいた。







いつもの様にAのベッドの横の椅子に腰掛ける煉獄だったが、その表情はどこか曇っていた。


「…知っているか、A。

宇髄と竈門少年達が上弦の鬼を倒したらしい。

上弦の鬼を倒すなど、本当にすごいことだ。


…しかし、相応の犠牲も多く出たようだ」


煉獄は包帯で巻かれた自身の左目に手を当て、目を閉じる。






「俺ではなく、Aが無事であったなら、救える命も多くあっただろうな」








― どうして俺を助けた









そう言いかけた言葉を飲み込み、煉獄は顔を上げる。


その表情はどこか悲しく、苦しそうに見えた。


「すまない。

どうも寝てばかりというのは性に合わないらしい」


煉獄は自嘲気味に笑うと、Aに掛かっている布団を整え、Aの頭を撫でながら一人呟く。




その煉獄の呟きも虚しく、Aの反応は全く無い。


反応が無いことは分かってはいたものの、多数の怪我人、犠牲者が出たと言う報告を受け、また片腕、片目を失った同僚の姿を見て、何も出来なかった自分の無力さを誰かに受け止めて欲しい、そんな身勝手な衝動にとらわれていた。



「…A、早く、目を覚ましてくれないか。

伝えたいことがあると言っただろう?」



毎日反応の無いAに語り続けること、炎柱として任務をこなすことの出来ない自分への不甲斐なさ。


煉獄の心にも限界が来ていたのであろう。


そう呟いた煉獄の瞳から、一粒の光る物が零れ落ちた。

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さくら(プロフ) - カケオレさん» カケオレさん、コメントありがとうございます!少し忙しくなってしまい、土日しか更新が出来ないんですが、気長にお待ちいただけると嬉しいです! (2022年3月31日 23時) (レス) id: 8f829f7667 (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - 更新待ってます!頑張ってください! (2022年3月31日 14時) (レス) @page20 id: 661d0ebc5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら | 作成日時:2022年3月6日 1時

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