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Aはメスを手に持つと、自身の腹を切る。
「お、おい!!お前、何してんだ!!!」
伊之助もAのしたことに驚き、止めようと手を伸ばすが、大丈夫、と真剣な眼差しで言うAに静止され、何も言えなくなってしまっていた。
大丈夫。
何度も切ってきた。
見えなくても、分かる。
煉獄は私の命に代えても、絶対に助ける。
Aは自身の臓器を、損傷した煉獄の臓器に移植することを思い付いた。
代わりが無いのであれば、作れば良い。
何の躊躇いもなく、自身の腹を切り、中から臓器を取り出す。
自分の戻し切りの技術と、先程注射した麻酔のおかげで、痛みは殆ど無かった。
切った腹はすぐに元に戻り、すぐに煉獄の手術に取り掛かる。
「…A、やめて、くれ。
そんなことを、したら…、君が…」
薄れゆく意識の中、煉獄は必死にAを止めようとするが、Aは手術の手を緩めなかった。
臓器を取り出した後は、もう手慣れたものであった。
自分の臓器が無いことなど、微塵も感じさせない程の速さと正確さ。
そう、それはまさに神の手と呼んでも過言では無い程に。
ものの数分で、全ての縫合を終えた頃には、既に煉獄は意識を失っていた。
が、一命は取り留めたようで、容態は落ち着いていた。
「Aさん…!煉獄さんは…!?」
「煉獄は恐らくもう大丈夫。
後は煉獄の回復力に任せるしかないかな」
煉獄は大丈夫、そう言うAの言葉に、炭治郎と伊之助は嬉しそうに歓声を上げる。
そんな二人を見て、Aも一安心したのか、ふぅ、と一息を吐いた、その時。
「っAさん!?!?」
自分の方を見て心配そうに駆け寄る炭治郎と伊之助。
口を押さえている手には大量の血。
Aはそのまま地面に倒れ込んだ。
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さくら(プロフ) - カケオレさん» カケオレさん、コメントありがとうございます!少し忙しくなってしまい、土日しか更新が出来ないんですが、気長にお待ちいただけると嬉しいです! (2022年3月31日 23時) (レス) id: 8f829f7667 (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - 更新待ってます!頑張ってください! (2022年3月31日 14時) (レス) @page20 id: 661d0ebc5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2022年3月6日 1時