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「煉獄!!」


Aは膝をつき、今にも倒れ込みそうな煉獄の側へ駆け寄る。


煉獄は、Aが来たことに少し驚いていたようだが、それよりもう既に自分の命の灯があと僅かであることを悟り、申し訳無さそうに悲しく微笑む。


「…A、すまない。

…最期に、話したいことがある」


「喋るな。

腹の傷に障る」


Aはそう言い放つと、貫かれた煉獄の鳩尾を見て眉を顰める。










千切れた鬼の手が蓋となって、出血が抑えられている…。


けど、鬼の手が消えれば出血多量で死んでしまう…。


例え縫合したとして、臓器がやられてるんじゃ、意味がない…!


乗客の中に死者も出てないから、移植出来る臓器も無い…。


くそっ!!!


何か!何か煉獄を助ける方法は無いの…!!











さすがのAでも、この状況では手の施し様も無く、眉間の皺がただただ深く刻まれるだけであった。


煉獄はその状況悟ったのか、微笑みながら、Aに話しかける。


「…もういい。

俺はすぐに死ぬ。

その前に、伝えたいことが、ある」


「だめだ!!!

喋るな!!

諦めるんじゃない!!」


Aの悲痛な叫び声が、虚しく響く。


煉獄はAの抑止も聞かず、話し続ける。


「A、愛している。

俺が、この手で、幸せにしてやりたかったが、叶わないようだ。

A。

幸せに、なってくれ。

君には、その権利がある。

過去に、捕われるな。

前を向いて、生きろ」


Aは顔を上げると、死の間際だと言うのに、とても優しい笑みを浮かべる煉獄と目が合った。






煉獄の顔を良く見たいのに、目の前が霞んで、良く見えない。


Aは震える声で言葉を絞り出す。


「どうして。

お願いだから、置いていかないで。

幸せに、してよ…!

煉獄が、いなきゃ、幸せになんてなれない!

お願い、死なない、で…!!」


溢れる涙を拭おうともせずにAは、煉獄に対してなのか、それともいつも試練を課してきた神に対してなのか、誰へとも分からず懇願する。


だが、無慈悲にも、陽は刻一刻と顔を出し、陽光が少しずつ差し込んできた。


煉獄の鳩尾の鬼の腕が、さらさらと音を立てて崩れ落ちていく。


それと共に、煉獄の隊服に血がどんどん滲み始めてきた。


物凄い激痛なのであろう。


煉獄の額には大量の汗が浮かんでいた。

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さくら(プロフ) - カケオレさん» カケオレさん、コメントありがとうございます!少し忙しくなってしまい、土日しか更新が出来ないんですが、気長にお待ちいただけると嬉しいです! (2022年3月31日 23時) (レス) id: 8f829f7667 (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - 更新待ってます!頑張ってください! (2022年3月31日 14時) (レス) @page20 id: 661d0ebc5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら | 作成日時:2022年3月6日 1時

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