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Aは頭で考えるよりも先に声が出てしまっていた。
無意識に口から出てしまった名前に、Aはハッと口を押さえるが、当の煉獄は微動だにしない。
不思議に思ったAは、恐る恐る近付き覗き込む。
例に漏れず、煉獄も深い眠りについていた。
隣で寝ている少年も隊服を着ているので、鬼殺隊士なのであろう。
だが、煉獄ともあろう者が、こんな気配の中悠長に眠り続けるなど、どう考えてもおかしい。
恐らく、車両前方にいるであろう鬼の仕業だと言う事は、鬼殺隊士ではないAでもすぐに分かった。
煉獄に声を掛けることに、若干の躊躇いを覚えたものの、今はそんなことを気にしている場合じゃない、と、Aは意を決して、眠る煉獄に声を掛ける。
「煉獄!起きて!」
Aは煉獄の身体を揺すり、起こそうとするも、反応が全くない。
さてどうしようかと、煉獄の顔を見てAは息を飲んだ。
Aがいつも見ていた煉獄の表情は、快活で豪快。
太陽の様な笑顔で、微笑んでいた。
だが、ここにいる煉獄は違った。
眉間に皺を寄せ、どこか苦しそうな、そして悲しそうな表情をしている。
Aは煉獄のその表情にひどく胸を締め付けられた。
一体どんな夢を見ているのだろうか。
気が付けば、Aは煉獄の頬に手を伸ばしていた。
愛おしむ様に煉獄の頬を撫でると、少し、煉獄の表情も緩んだ気がした。
このままずっと触れていたい。
そんな欲に駆られそうになったAだったが、煉獄の隣の少年の前にあった箱がカタッという音を鳴らし、中から何かが飛び出して来て、ハッと頬から手を離した。
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さくら(プロフ) - ゆかりさん» メッセージに送らせていただきましたので、確認をお願いします! (2022年2月20日 12時) (レス) id: 8f829f7667 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - さくらさん» 返事遅くなってごめんなさい。大丈夫です! (2022年2月19日 21時) (レス) id: 9654438337 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 雪さん» 雪さんコメントありがとうございます!ご指摘、直しました。誤字が多くて申し訳ございません。 (2022年2月11日 8時) (レス) id: 2c8a922d81 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - また続けてのコメントですみません。 物語読んでいて気が付いたのですが…。 同じく27.慟哭のここの部分 ○○←名前は、思いもやらぬ煉獄の声の大きさに目を見開いて驚くも、すぐにいつもの様に戻る。 これ正しくは思いもよらぬ (2022年2月11日 1時) (レス) @page27 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 続けてのコメントですみません(>_<) 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 27.慟哭のここの部分 悪い思ったんだが、と前置きをした上で、煉獄が事の顛末を話す。 これ正しくは悪いと思ったんだが、ではないんでしょうか? (2022年2月11日 1時) (レス) @page27 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2022年1月23日 22時