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眉を下げ困った様に微笑む煉獄の顔。
その顔を見ると、どうしてか胸が締め付けられる。
「なんで…?」
「君は恐らく、今まで一人で何でもやってきたのだろう。
とても強い。
だが、その君が泣いている理由を知りたいと思った」
「泣いてなんか」
「初めて君を見た時、涙を流していた」
Aはハッと驚き煉獄を見る。
煉獄は優しく微笑んでいた。
「Aの剣を初めて見た時、とても美しいと思った。
剣を交えて分かったが、Aは剣が好きなんだろう?
楽しそうに打ち合うAに心奪われた」
剣が好き、そう言われ、Aは動けなくなった。
Aにとって剣は、人を殺す物、ただの道具、であった。
だが、本当はそうではなく、人を助ける為、生かす為に使いたかった。
殺めてしまった命は戻らない。
だから、得意な医術で人を救いたい、その思いから、私の育ての親を自分で屠った後、猛勉強をして、飛び級を繰り返し、史上最年少で試験に合格し、医者になった。
幼い頃から手術を行なっていたAにとって、病院で行う手術などは朝飯前であった。
若いながらも神の手の如く、患者を救うAは瞬く間に有名になっていった。
だが、どこの世にも才能を妬む者はいるもので、Aにとっても例外ではなかった。
親しくしていたと思っていた仲間に、裏切られた。
育ての親の元で違法な手術を行なっていたことをリークされたのであった。
かつてAが救った患者が、良かれと思い話したそうだ。
幸い、暗殺のことは全く出て来なかったものの、世間は称賛からバッシングに変わっていった。
Aがやってきた事からすれば、当たり前と言えば当たり前のことなのかもしれない。
いつかこんな日が来る、覚悟していた事ではあった。
だが、まさか自分が信じていた仲間に裏切られるとは思ってもいなかった。
当然、表舞台を追われたAは、普通の患者など持てるはずもなく、裏稼業専門のもぐりの医者になっていた。
せめてもの償いに、稼いだ手術代は自分のような者を出すことのないよう、孤児院に寄付をして。
そんな中、何かの抗争に巻き込まれ、追われ、何の因果かここに来た。
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さくら(プロフ) - ゆかりさん» メッセージに送らせていただきましたので、確認をお願いします! (2022年2月20日 12時) (レス) id: 8f829f7667 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - さくらさん» 返事遅くなってごめんなさい。大丈夫です! (2022年2月19日 21時) (レス) id: 9654438337 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 雪さん» 雪さんコメントありがとうございます!ご指摘、直しました。誤字が多くて申し訳ございません。 (2022年2月11日 8時) (レス) id: 2c8a922d81 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - また続けてのコメントですみません。 物語読んでいて気が付いたのですが…。 同じく27.慟哭のここの部分 ○○←名前は、思いもやらぬ煉獄の声の大きさに目を見開いて驚くも、すぐにいつもの様に戻る。 これ正しくは思いもよらぬ (2022年2月11日 1時) (レス) @page27 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 続けてのコメントですみません(>_<) 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 27.慟哭のここの部分 悪い思ったんだが、と前置きをした上で、煉獄が事の顛末を話す。 これ正しくは悪いと思ったんだが、ではないんでしょうか? (2022年2月11日 1時) (レス) @page27 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2022年1月23日 22時