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(…あ、また寝ちゃってたのかな)


窓から入る月明かりに照らされ目を覚ます。


完全に目が覚めてしまったため、布団から起き上がり戸を開け、縁側に座る。


(…静かだな…)


周りにほとんど家や街灯などはなく、空を見上げると満天の星空。
向こうの東京では絶対見ることの出来ない景色。


(綺麗…)


少しの間無心で空を見上げていた。


(悟、うまくできたかな…)


考えるのは時間を戻してきた兄のこと。
自他ともに認める最強であるため、あまり心配はしていないが、気がかりではある。


(もう戻れないのかな…)


考えないようにしていた。
元々考えても無駄なことは考えない質であったAは、今どうするかだけを考えていた。
しかしこの静寂の中、深層にいた気持ちが浮かび上がってきた。


「…悟」


無意識に呟いていた。


「A、起きたのか」


「杏寿郎?」


「ああ。」


「どうしたの、こんなところに」


ハハっと笑うと


「人影が見えたのでな」


そう言うと、杏寿郎はAの横に腰を降ろす。


「眠れないのか?」


「寝過ぎて眠れなくなっちゃったみたい」


「そうか」


杏寿郎はAを見る。


「今日はありがとう。母上に会えて、まるで胸のつかえが取れたようだった」


Aは杏寿郎に優しく真っ直ぐ見つめられ、目を離せないでいる。


「母上が亡くなる前、他の人より強く生まれたのは弱いものを守るためと言われ、ただひたすらに鍛錬をした。鬼を斬った。
柱にもなった。
しかしこの手で守れるものは一握りで、零れ落ちてしまう方が多かった。
いつもこれで正しいのかどうなのかわからなかった。
しかし、母上に認められ、間違ってなかったと心底安心した。
それと同時に、俺は寂しかったんだと気付いた」


(…本当は気付いていた。母上からAに戻ったのを。ただ居心地が良く離れ難いと思ってしまった)


「人は一人じゃ生きていけないよ」


「…そうだな」


「…まぁ戻れる見込みもないし、当分側にいてあげるからさ」


私は強いから杏寿郎の手から溢れ落ちることはないよ


と呟いた声は杏寿郎に届いたのか。



「うむ!頼りにしている!!」


「ハハ、まっかせーなさい!」

といつものように軽口で返す。


「さて、そろそろ寝よう!Aが寝ている間お館様から返事が来た。明日早朝に向かうとしよう!」


マジ!?寝れるかなぁと文句を言い別れたが、思いの外すぐ瞼が重くなった。

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さくら(プロフ) - 廣岡唯さん» 廣岡唯さん、ありがとうございます!良かったら続きも読んでいただけるとありがたいです😊 (2022年11月11日 19時) (レス) id: fc46cae9f1 (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯 - 面白い煉獄杏寿郎さ❤️ん (2022年11月11日 12時) (レス) @page41 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - いちごマカロンさん» いちごマカロンさん、いつもありがとうございます!ニヤニヤしていただいて笑 中々更新出来ずすみません!もう一つの方完結させたら引き続き更新する予定ですので、よろしくお願いします! (2022年4月7日 11時) (レス) id: 8f829f7667 (このIDを非表示/違反報告)
いちごマカロン - 七話で煉獄さんが夢主に服がばってされてニヤニヤが止まらん (2022年4月5日 18時) (レス) @page8 id: d434798822 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - わたあめさん» わたあめさん、コメントありがとうございます!とても嬉しいです!これからもよろしくお願いします^ ^ (2021年8月29日 8時) (レス) id: 8f829f7667 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら | 作成日時:2021年8月24日 15時

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