忍ガールは愛される

49 ページ50

貴方目線

谷川くんからどこに行ったか聞き、教えてくれた方向に走る

『こんな狭いところとか行かないよね...って』

チラッと見えた路地裏

するとそこには灰色の制服の人だかりと、その奥には一人だけ青い制服を着た人が、どんっと飛ばされるのが見える

あのわかりやすい体格と大声、今井さんだな

既にやられ始めてしまっているようで、今井さんの頭にはたらりと垂れる赤黒い液体

...飛ばした本人までは物陰で判断できない...が、あれはタチの悪いリンチのようだ

途端、頭に血が昇るのが自分でも分かる

『何やってんだゴラァ！！』

目の前の集団を飛び越え、蹴り上げられている足を思いっきり踏みつけた

足を蹴り上げた人を確認する間もなく、急いで今井さんに駆け寄る

『今井さんっ！大丈夫ですか！？』

今「Aさん...ｯ？なんでここに...」

『谷川くんに聞いたんです。早くここから逃げないt((？「A...？」...え』

よく聞き慣れたその声に、思わずゆっくり振り返る

そこには、見慣れた銀髪

『さ、がら...？まさか、相良がやったの...！？』

相「う、あ、えっと...俺の大事な大事な子分がやられたってんでねェ。親玉の俺が出てくるのは当然だろ。さっさとそこどきな。」

最初はたじろいだ様子を見せた相良だが、パッと顔色を変えて淡々と話しながら私を見据えた

いつもと違う。冷めた目。

いつもの優しい相良じゃないのは、多分、この目の前の男が【開久の狂犬】の相良なんだろう

そう分かっていても

あれ

なんで

怖い

道場破りの岸本と同じだ

『い、やだ...どか、ない...ｯ』

手が、体が、声が、震える

なんでか分からないけど、涙が溢れてくる

それが溢さないように、必死に歯を食いしばった

溢したら、殴られるから

『ﾊｯ...ｧ...ｯﾊ...ｩｱｯ...』

目の前の【目】が突き刺さって痛い

何度殴られるより、蹴られるより、刺されるより

痛い

怖い

苦しい

今「A...さん...？」

相「お、おいA...？どうした、そんな...」

いつもと違う私に、相良はいつもと同じ優しい目で手を差し出してくる

途端、ｸﾞｴｯっと倒れる相良

倒れるというか、押されたというか...

よく見ると、倒れた相良の背中にはきちんと揃えられた両足

その足を辿ると




見えたのは、金髪だった

ーーー
キリが悪いですが続編に進みます！
続編でも楽しんでもらえると嬉しいです！

この小説の続きへ→←48

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す