呪霊か鬼か 短編集 【鬼滅の刃】【呪術廻戦】

・ ページ18

「そうだよ、ほら、こっちにおいで」


目の前の夏油は腕を広げ、Aを呼ぶ。


Aは、糸の切れた人形の様に、一歩足を踏み出す。





とその時、カシャンッ、と言う音が響く。


日輪刀の鞘が刀身に当たり、擦れた音が鳴る。



(…刀…、何で？




…違う！！日輪刀！！！)



Aはハッと目を覚まし、日輪刀を抜き、目の前の夏油を左腕を斬る。


斬られた夏油は、ハハッと笑いながら、



「…A、また私を殺すのかい？」



と高専時代と変わらぬ笑顔で言う。



「…っ！！傑は死んだ！！お前は偽物だ！！」







リィンッと言う音が再度頭の中に響いてくる。







すると、Aの前には見慣れた服装の隊士達の姿が積み重なって山になっているのが目に入る。


遠目から見て、もう既に事切れていることが明らかであった。



「あれ、もう気付いちゃったんですか？

もう少し楽しめば良いのに」



隊士達の亡骸の上に立つ、白い髪の毛で眼鏡をかけた鬼がいた。



「…それはご丁寧にどーも。」


周りを見渡すと、目の焦点が合っていない左腕が血だらけの杏寿郎が日輪刀を力なく握っているのが見えた。



「…杏寿郎に何したの？」



「そこのもう一人の鬼狩りですか？

それならまだ私の血鬼術の中ですよ。

あぁ、腕でしたら、私じゃありませんよ。」


と言われ、Aは自分の日輪刀を見ると血で濡れていた。


まずい、とAは杏寿郎の元へ飛び、反転術式ですぐに癒す。



「へぇ、傷を治せるんですか。

しかし、そこの鬼狩りももうそろそろですよ」



もうそろそろ、と言葉の通り、杏寿郎が力強く刀を握り直すと、不知火をAに向かって放つ。



(なっ！？)



Aは反転術式を施している最中、不意のことで、避け切れず、肩から腰にかけて斬られる。


「あははは！面白いですね。

精神が強いと思われる人程、私の血鬼術はよくかかるんですよ」


Aは目隠しを下ろし、


『再構築』


自身を反転術式で治す間もなく、杏寿郎の次の斬撃が襲ってくるためAは無限を張る。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す