研究員はポアロにいる

助手 ページ24

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『今から来てください。』




夕食を食べようと思った時に、こんなメールを送り付けられた。

送信元は沖矢だ。

緊急の用事なのではないかと思い、慌ててバッグを引っつかみ、バタバタと玄関を飛び出したのが数分前。



玄関のチャイムを鳴らせば、ドアが開き、いつものソファへ案内される。


ポーカーフェイスの沖矢…基、赤井は、表情が読み取りにくい故に、いつもと変わらないように見える。


また奴らが誰かを狙っている？

NOCがバレた？

それとも新一や志保が＿＿＿


彼が奥から出てくるまでの間、Aは、出された飲み物にも口をつけず、ひたすらそわそわしていた。




｢お待たせしてすみません｣




夕飯時だからか、彼は温かそうなシチューを出してくれた。




｢…あの、ご用とは？｣


｢ああ、このシチューを食べて頂きたくて。｣


｢…は？｣




思わず間抜けな声が出た。

彼いわく、シチューを作りすぎてしまったため、周りの人におすそ分けしているという。



Aは、安心と呆れが半々くらいの溜息をした。
どうやら彼はメールは端的に済ませるタイプらしい。


出されたシチューを少しスプーンで掬い、口に運べば、優しい甘さが広がった。
うん、美味しい。


一方、沖矢は、料理には口を付けず、スマホをじっと眺めている。
＿＿＿そして、彼の翡翠色の瞳が覗いた。




｢…何かあったんですか？｣


｢シャーロキアンお得意の暗号解読だ。｣




彼は急に赤井の声と口調で言った。

話を聞くと、最近テレビやネットを騒がせている、連続狙撃事件＿＿＿

藤波宏明氏がベルツリータワーで狙撃された第1の事件。

安原仁氏が自宅で狙撃された第2の事件。

容疑者として名が挙がっていた、元SEALDsのティモシー・ハンター氏が狙撃された第3の事件。

そして、ビル・マーフィー氏が東京行きの新幹線で狙撃された第4の事件…


これらの狙撃場所には、それぞれ空薬莢と4、3、2、1の目が示されたダイスが置いてあったらしい。




｢つまり、これを解けば、犯人の目的が分かるかもしれないってことですか？｣


｢そういうことだ…ワトソンくんの力を借りても？｣


｢…真純ちゃんの仇をとることが出来るなら｣




そう言って、Aは膝の上で拳をギュッと握りしめた。

世良は、第4の事件でコナンを庇い、撃たれてしまったらしい。
現在、彼女は入院中である。


Aはもう一口、スプーンを口に運んだ。






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