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♯38 別れ−影− ページ43

〜クロサキside〜

身体中が震えている。


自分がこの姿に生まれたきっかけ、黒塗りの過去、そして自分の本当の名前・・・ほぼ全てを思い出してしまった。

私もノイズと同じく影として生まれ、愛や友情を知ることなく あらゆる場面で忌み嫌われていた。

唯一分からないのが、ヘッドホンでこの曲をエンドレスで聴き始めた理由。

「ようやく君も 真実と向き合えたんだね」

「ああ。
・・・すごく恐かったけど、何というか清々しい。
お前の気持ちが もっと分かったよ」

「ありがとう。やっぱり 僕を分かってくれるのは
君しかいないようだね」

彼はそっと私を胸に抱き、優しく頭を撫でた。


「でも、君に言わなきゃいけないことがあるんだ」

突然の不穏な空気。

私がようやく顔をあげると、ノイズは悲しそうに言った。

「僕達はもうすぐ、別れなければいけなくなる」

「っ・・・!?」

どういう事だ・・・!?

「この世界は光と影によって成り立っている。だから、このままじゃ 影そのものである僕達と (僕達)を失った彼らは いずれ消滅する」


「そんな・・・!!」

「本来 悲しみや憎しみの塊ともいえる僕達は、こうして互いを愛したりすることなど 決してなかった。
本当に残酷だよね。運命って奴は」

じゃあ、彼がさっき言ってた「抱いてはいけない感情」というのはこういう事だったのか・・・。

「さあ行こう、僕達の還るべき場所へ。
もう時間は残されていない」

受け入れるしかないのか・・・?
悲しいのは言うまでもないが、私には 抵抗する術などなかった。

「真の姿でまたいつか会おう、クロサキさん。



___いや、Aちゃん」

私達は再び抱き合い、二度と交わされることのない唇を重ねた。
そして彼は微笑みながら言った。

「__そう遠くはないかもしれない」

どういう意味だ・・・?
私達が『還るべき場所』が近くにあるということなのか、それとも・・・
私は訊きたかったが、彼の姿はもうなかった。


私は涙をこらえ、三日月を背に ひたすら道を辿り続けた。
己から欠けていた『光』を追い求めながら。

♯39 真実への道 前編→←♯37 別れ−光−


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作者名:夜桜音羽 | 作成日時:2015年6月28日 18時

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