The Road～光と影の詩～【オリジナル】 (ページ42)

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♯37 別れ－光－ページ42

「A!」

突然名前を呼ばれ、顔をあげた。

「一緒に帰ろ!!」

由花･･･!?

「ウチらもいるぞーっ!」

玲夜と実輝、リクトもいる。

「御咲さん!」

そして響もいる。

由花に手を引かれ、皆と一緒に目の前に現れた謎の光に向かって駆けて行った。

そしてその光に包まれると、今までの思い出が次々と蘇った。

皆で笑いあった日々。他愛ない話で盛り上がった帰り道。誰かの家に集まった放課後。
時々喧嘩もしたけど、それでもすぐに仲直りして。

ひとつひとつは本当に小さな出来事で人によっては「くだらない」と笑うかもしれないけど、どれもかけがえのない、どんなものにも代えられない宝物。

気がつくと、強く降っている雪の中に響だけが立っていた。

ずっと会いたかったよ。
そう言いながら抱きつこうとしたが、果たせなかった。

バレンタインデーの記憶そのものだったからだ。

「僕も前から･･･好きだったからさ。嬉しいよ」

今も好きでいてくれてるよね。
信じてるよ。

『ありがとう』

この光り輝く全ての思い出に。

◇

『･･･それでいいんだね』
「んなっ･･･!?」

難しいことなんてもう考えなくていい。

信頼しあえる仲間、そして愛してくれる人が私には居る。
それだけで充分素晴らしいことじゃないか。
どんなに辛いことがあろうとも。

「お前、さっきまで･･･」

私は少し微笑むと、言った。

＿＿＿『さ(.)よ(.)な(.)ら(.)』

もう悩まなくたっていい。
すると次の瞬間、私の中から何かが抜けていく感覚に見舞われた。

「貴様、よくも･･･」

目の前では、私にそっくりな少女がこちらを睨んでいた。髪や目の色以外はほぼ同じに見える。
きっと、今までのあの声の主だろう。

「次こそは･･･飲み込んでやる」

それだけ言い残して、何処かへ消えてしまった。

＊

次の日、私は約一週間ぶりに学校へ行く事にした。
すごく気まずいし勉強もついていけるか不安で少しためらったが、心配してくれている仲間がいる。

だから、頑張らなきゃ。

それにしても、昨日は随分不思議な体験をしたな。
夢の内容も急に大きく変わったし。

『行ってきます!』

気を引き締めながら、玄関のドアを開けた。