The Road～光と影の詩～【オリジナル】 (ページ27)

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♯22 夏祭り後編ページ27

「実輝がいきなり笑いだしたぞ！」

『何だなんだ!?』

ニヤリと笑う実輝のかき氷には、なんと全てのシロップがかかっていた。

「フッフッフ･･･元を取るならこうでなくちゃね」

「レインボー、だと･･･?」

『いや、これ絶対味分からなくなるやつだよね!?って元取れてるのかどうかも分からないし!』

私はそう突っ込まずにはいられなかった。

『「「いただきまーす!!」」』

ひんやりとした氷とシロップの甘みが絶妙に混ざり合い、ふんわりと舌を刺激した。

「ん～、やっぱり夏といえばこれだね!」

『うん!美味しい!』

「美味い!けど味がわからん!!」

『「だろうな」』

その後私達は、色々な屋台を回った。

「さて、夏祭りといえば･･･」

「由花!?」

『うっ』

目の前には、お化け屋敷。

『いや、やめとこ?入場料高いし･･･』

「あれ?A、ひょっとして怖いのかな～?」

『うん、ホントにこういうの無理!!』

「「あっさり認めたー！」」

だってホントに無理なんだもん。
小2の頃に初めてお化け屋敷に入ったのだが、怖すぎてパニックになり、それがトラウマになっている。

しかもそのお化け屋敷が、此処である。

「みんなで入れば大丈夫だって!」

･･･だといいな。

由花のフォローのおかげで、私も頑張って入ることにした。

「よーし、じゃあれっつごー!」

はあ、相変わらず実輝はノリノリだ。

「んじゃ、先頭はAで!」

『由花、殺す気ですか!?』

「冗談だよ。私が先頭歩くから大丈夫!」

うわっ、やっぱり暗い･･･。

『怖ーい!!』

「まだ何も出てないからっ!」

「ってこらA、服を引っ張るな!ビビり過ぎだ!」

『だって･･･』

「グアアアア」

『ひいっ･･･』

「「あ、お疲れ様でーす」」

えーー!?

＿＿＿あれ、意外と怖くない。

でも･･･

『「「お疲れ様でーす」」』

そしてオバケまでペコリとお辞儀する。
すごい絵面だ。

ようやく出口に着いた。

「怖くなかったでしょ、A?」

『うん。でもこれ趣旨変わってない!?』

「いいんだよ、楽しければ!」

『まあ、楽しかったからいいけど･･･オバケ役の人ちょっと可哀想じゃない!?』

「え、なに役とか言ってんの!?」

『あんたが言うなー!』

＊

「いやあ、今日は楽しかったね!」

『ね!』

「さっき電車でイチャイチャしてたバカップルマジ爆ぜ」

「由花、落ち着け!!」

頭上には、綺麗な夕焼け空が広がっていた。

～♯22 夏祭り後編 END ～