検索窓
今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:5,195 hit

♯18 白の闇 ページ23

私達以外誰もいない教室。

外では、雨が降り始めていた。

「あ、ついに負けを認めたのね?」

『いや違うからっ!ちょっと、聞きたい事があってさ』

「何よ、いきなり深刻な顔して・・・」

「さり気なく話題を出せばいい」という助言を由花はしてくれたが、そんな時間はない。
自分がこういうタイプじゃないのは分かってるけど、真正面から攻めることにした。

『私が矢守くんと玲夜が好きって勝手な噂流したの、百合音だよね?』

「なっ・・・!」


『そうやって、私と矢守くんを引き離そうとしてるのは分かってる。正直に言って』

「・・・」

百合音は、ギリリと歯ぎしりをした。

重い沈黙。
まるで時が止まったかのように。



___「クフフフッ」


その空気を突き破ったのは、百合音の黒い笑いだった。

「バレちゃあ仕方が無いわね」

『ってことはやっぱり』

「そうよ、あの噂を流したのはあたしよ。あたしは決めたの。ライバルであるあんたを、どんな手を使って蹴落としてでも あたしは勝ってやるって」


『そんな・・・!』

「ねぇ、弱肉強食って言葉 知ってる?弱い者は崩れ落ち、強い者だけが生き残る・・・私はまさにその通りだと思う。どの世界においてもね」

雨が強くなり、窓を激しく叩いた。


私が今見ているのは、本物の百合音なんかじゃない。まるで悪魔にでも取り憑かれているかのようだ。

勝ち気なところは前から変わってないが、それでも何故か憎めない。それが『白木百合音』という少女だったのではないか。

確かに私は、あんなことをした彼女が許せないでいるけど。

激しい「怒り」と「失望」が、複雑に混じり合う。

「だから私はあの噂を流して、あんたと矢守くんを引き離そうとしたの。ついでに、あんたの大切な友達とも居づらくなる」

私は何も言えなかった。

「あの2人の耳に届いたら・・・あんたはもう終わりね」

ククク、とまた黒く笑う。



彼女は私にとって、正々堂々と戦う戦友だと思っていたのに。



幼い頃によく見ていたアニメの、かつて主人公の仲間だった悪役の姿が重なった。



私は戦意を失った勇者のように、何も言えないまま教室を出た。

しかし次の瞬間、


「・・・嘘よ!!!!」


え・・・?

百合音が突然、そう叫んだ。


「さっき言ったのは全部嘘よ!私の口から言わせてもらえばね!!」

そんな馬鹿な。さっきまであんなに残酷なことを言っておいて何を今更・・・


「脅されてたのよ!!あたし・・・」

〜♯18 白の闇 END〜

♯19 外れた仮面→←♯17 狂い始めた時


  • 金 運: ★☆☆☆☆
  • 恋愛運: ★★★☆☆
  • 健康運: ★★★★★
  • 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:学園 , オリジナル小説 , 恋愛 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:夜桜音羽 | 作成日時:2015年6月28日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。