♯18 白の闇 ページ23
私達以外誰もいない教室。
外では、雨が降り始めていた。
「あ、ついに負けを認めたのね?」
『いや違うからっ!ちょっと、聞きたい事があってさ』
「何よ、いきなり深刻な顔して・・・」
「さり気なく話題を出せばいい」という助言を由花はしてくれたが、そんな時間はない。
自分がこういうタイプじゃないのは分かってるけど、真正面から攻めることにした。
『私が矢守くんと玲夜が好きって勝手な噂流したの、百合音だよね?』
「なっ・・・!」
『そうやって、私と矢守くんを引き離そうとしてるのは分かってる。正直に言って』
「・・・」
百合音は、ギリリと歯ぎしりをした。
重い沈黙。
まるで時が止まったかのように。
___「クフフフッ」
その空気を突き破ったのは、百合音の黒い笑いだった。
「バレちゃあ仕方が無いわね」
『ってことはやっぱり』
「そうよ、あの噂を流したのはあたしよ。あたしは決めたの。ライバルであるあんたを、どんな手を使って蹴落としてでも あたしは勝ってやるって」
『そんな・・・!』
「ねぇ、弱肉強食って言葉 知ってる?弱い者は崩れ落ち、強い者だけが生き残る・・・私はまさにその通りだと思う。どの世界においてもね」
雨が強くなり、窓を激しく叩いた。
私が今見ているのは、本物の百合音なんかじゃない。まるで悪魔にでも取り憑かれているかのようだ。
勝ち気なところは前から変わってないが、それでも何故か憎めない。それが『白木百合音』という少女だったのではないか。
確かに私は、あんなことをした彼女が許せないでいるけど。
激しい「怒り」と「失望」が、複雑に混じり合う。
「だから私はあの噂を流して、あんたと矢守くんを引き離そうとしたの。ついでに、あんたの大切な友達とも居づらくなる」
私は何も言えなかった。
「あの2人の耳に届いたら・・・あんたはもう終わりね」
ククク、とまた黒く笑う。
彼女は私にとって、正々堂々と戦う戦友だと思っていたのに。
幼い頃によく見ていたアニメの、かつて主人公の仲間だった悪役の姿が重なった。
私は戦意を失った勇者のように、何も言えないまま教室を出た。
しかし次の瞬間、
「・・・嘘よ!!!!」
え・・・?
百合音が突然、そう叫んだ。
「さっき言ったのは全部嘘よ!私の口から言わせてもらえばね!!」
そんな馬鹿な。さっきまであんなに残酷なことを言っておいて何を今更・・・
「脅されてたのよ!!あたし・・・」
〜♯18 白の闇 END〜
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作者名:夜桜音羽 | 作成日時:2015年6月28日 18時