The Road～光と影の詩～【オリジナル】 (ページ21)

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♯16 迫る影ページ21

腕まで到達した謎の黒い物は、一向に止まる気配がなかった。

『助けて、誰か･･･』

そして、謎の声が聞こえた。

「お前はいずれ、･･･が、･･･になる･･･」

その声の一部は、電波の悪いラジオのような音にかき消されて聞こえない。

『何なの･･･？』

◆

またこの夢だ。
全く、どうして最近こんな夢ばっかり見るんだろう･･･
私はその夢のことを話した。

「え、何それ怖っ！」

「怖すぎ･･･」

「意外と正夢だったりして。なんてな」

『さらっと怖いこと言わないでよ～！』

「あ、そういえばA･･･」

実輝が何かを思い出したように口を開いた。

『何？』

「ちょっと･･･こっち来て」

何でここで言わないんだろう。彼女は悪口を言うような人じゃないし、よほどここでは言いづらいことかな。

「A、玲夜と響が好きって本当なの？」

はい？

『え、何でいきなりそんな･･･』

「なんか昨日、部活で聞いたからさ。確かすみれから」

『いやいやいやいや！』

どうして･･･？
確かに私は響が好きだし、向こうの気持ちも分かったからそこはいいとして、何で玲夜まで･･･？

もしこれが響の耳にも入ったら･･･!!

『ありえないから!!!!』

「え!?何かゴメンね。そんなに怒らせちゃって」

『あ、実輝に対して怒ったわけじゃないから大丈夫。ってか私、そんなに恐かった？』

「うん。こんなに恐かったA初めて」

その後も、何人かのクラスメイトに全く同じことを聞かれた。
幸い、由花や響、玲夜の耳には届いてなかった。

嘘だ。
絶対これは何かの間違いだ。

＿＿確か実輝は「すみれから聞いた」って言ってた。だとしたら･･･

でも、すみれがそんなことをするとは思えない。確かにこの前は変なことを言ってきたけど。

きっとこれは、百合音の仕業だ。きっと彼女が、私を響から引き離すために勝手に話を作り替えて流したんだ。いや、そうに違いない。

『許さない･･･』

「だったら、やり返せばいいじゃん」

突然何者かが、私にそう語りかけた。

～♯16 迫る影END～