意外な一面 ページ7
トラなんとかくんと少し喋ったあの日以降(果たして喋ったと言えるのだろうか)、
彼とは会ったとき、軽く会釈をするくらいにレベルアップしていた。
目が合うと、どちらともなくぺこりとする。
キッドにはいつの間にアイツと会釈する仲になったんだよ？とか言われたけど。
わたしもよくわからない。
なんであの時彼はわたしに声をかけてきたのか。
それが未だに謎だった。
『う〜〜ん！』
誰もいない教室で一人、わたしは大きく背伸びをする。
『こんなんでいいかなあ。』
キッドの野郎先に帰りやがって、と悪態をついて日誌を閉じる。
本来であればキッドもこの場にいるはずだったのだが、急遽バイトになったらしくわたしが全部を背負うことにした。
まあ遊びに行ったわけじゃないからなぁ。
……ハーゲンダッツで我慢してやろう！
なんて優しいのわたし。
ふふん、と勝手に得意気になっていると、突然教室のドアが開いた。
やっば、今の変な顔見られたかしら…と思いながらドアの方に目を向けると、見知った顔と目が合う。
『あ、トラなんとかくんだ。』
「はあ？」
そう、教室の入り口にトラなんとかくんが立っていたのだ。
「トラファルガー、な。……あとローでいい。」
そう言いながら、わたしの座ってる席まで歩いてきた。
『長ったらしい苗字だな...。ローくんでいいや。』
「おう。なにしてん……日誌か。」
わたしの手元をみて察するローくん。
『そ！ちょうど今終わったところだけどね！
そういうローくんはなんでここに？』
「あ、いや、…。」
頭をポリポリかきながら言い詰まるローくん。
なんか理由があるのかなって思ったけど深入りはいけない。
『まあいいか！とりあえずわたしは日誌出して帰るよ。』
ガタリと椅子から立ち上がって帰る支度をする。
「おれも、」
『ん？』
「おれも、職員室に用が、…。」
『あ、なんだそうだったの！じゃあついでに一緒に行く？』
「...あぁ。」
わたしたちは教室を出て職員室に向かった。
「(下駄箱見て靴あったから来たとかただの変態だろ...。
絶対言わねェ。つーか言えねェ……。)」
ローが言い詰まった理由。
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作者名：成瀬 | 作成日時：2022年4月12日 14時
