ご来店 ページ22
『いらっしゃいませー。』
コンビニのアルバイトを初めてから1週間ほど経った土曜日。
まだまだ勉強は必要だけれど、大まかな流れは把握した。
店長には「若いから仕事が早くて助かるよ。」なんて褒め言葉を頂いた。わあい！
今日は午前９時からインして18時に上がり。
朝から品出しの引き継ぎをして、漏れがないかきちんとチェックする。
慣れてくると仕事は楽しい。
すると、聞きなれた音楽が鳴り、店内に人が入ってくる。
品出しに集中しつつもしっかりいらっしゃいませを声に出す。
ふと、視線を感じるなと思い振り向くと。
『あれ、ローくん。』
「…何やってんだ先輩。」
『何って…。』
どうみても品出ししてるでしょ、と不思議そうに返すと、そうじゃなくて、と答える。
「…バイト始めたのか。」
『そ！お金欲しいし。』
「くく、正直すぎるだろ。」
わたしの素直な理由に面白そうに喉を鳴らして笑うローくん。
……何か面白いこと言っただろうか。
『ローくんは買い物？』
「あ？あぁ。なんか知ったやつがいるなと思って。」
『前ローくん家近いって言ってたもんね！』
なんて談笑していると、すいませーん！と言う声がかかる。
ローくんにちょっとごめんね、と言いレジへ向かう。
一通りレジをこなし、店内に他のお客さんがいないことを確認してローくんの元へ戻る。
『なにか買いに来たの？』
「ああ、昼飯を。」
『あ、唐揚げ棒揚げたてだよ。』
「…じゃあソレ貰うか。」
『え、唐揚げ棒だけで足りる……？』
「他にも買うよ。」
まいどありー！と笑いながらローくんに言うと、
なんだそれ、と先程と同じように面白そうに笑った。
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作者名：成瀬 | 作成日時：2022年4月12日 14時
