安心する声 ページ34
車で家まで送ってもらい、ようやく帰路に着く。
時刻は23時。
さっきのことを思い出すとやはりすぐには眠れない。
……明日が休みで本当に良かった。
とりあえずお風呂に入ろうと洗面所へ向かった。
部屋着に着替えてベッドに座りぼーっとする。
未だに手はちょっぴり震えて、ああ、私意外に弱かったんだなあと痛感する。
もし運が悪く刺されたりでもしたら、と思うとゾッとする。
電話とかしてたら大丈夫だろうだなんて甘く見ていた自分をぶん殴ってやりたい。
『なんで私、ぴらのさんに、…。』
こんなとき、近くに住んでいたら、…。
……なんてこと考えてるの、私。
『ぴらのさんの動画見て寝よ。』
そう切り替えスマホを開くとぴらのさんから
LINEが来ていた。
ぴらのさんあのあと、大丈夫やった?
ぴらのさん、心配してくれてる…。
電話、してもいいかな…。
○○電話、してもいい…?
既読
すぐ既読がつく。
そしてその後ぴらのさんから電話がかかってきた。
『あ、ぴらのさん、ごめ、』
「○○ちゃん、大丈夫か？」
『あ……ごめんなさい、なんだかご迷惑を…。』
ぴらのさんの声を聞いて後悔の気持ちがフツフツと湧いてくる。なんだわたし、情緒不安定すぎる。
「…はぁ。迷惑だなんて思っとらんよ。死ぬほど心配した。ほんまなんもなくて良かった。」
『……お騒がせしました、』
心做しかぴらのさんの声が震えているように聞こえた。
それほど心配してくれたということだろうか。
「すぐ助けに行かれんのが凄いもどかしいわ。」
『いやいや！気持ちだけで、すごく…嬉しい、よ。』
「…ちょっとやばいな、」
『え？』
「や、……結構、大事やねん。○○ちゃんのこと、……あ〜、なんかすっげー軽いヤツみたいやなこれじゃ、」
『ぴ、ぴらのさん、……、』
「…言っとくが、」
『え？』
「…半端な気持ちやないことだけ、今は覚えといて。」
『そ、それ、ッ、』
「今はまだなにも言わんでや。俺もいっぱいいっぱいなんよ。」
そのあと、ぴらのさんは途切れ途切れになりながら言葉を発し、電話は切れた。
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作者名：成瀬 | 作成日時：2022年1月20日 13時
