｜ ページ33
フルコンさんの車の中で、少し落ち着かせてもらう。
「……○○、大丈夫？」
『うん、千鶴、フルコンさんありがとう……。』
「○○ちゃんが無事でよかった。ちょうど千鶴も帰ってきたタイミングやったし、よかったわ。」
あのあとしばらく様子見していたら、急に近づいてきて
力強く腕を掴まれた。
それ以外は幸いなにもされていないけど、薄暗い夜道で目元だけが見えた瞬間、背筋が凍った。
「ぴらのから電話きてさ、何事かと思ってん。」
『あ……そうなんですね。なんかごめんなさい……。』
「あ、いやそうやなくて、なんで大阪に住んどるぴらのに電話したんかなって気になって。」
『それ、は……。』
ぴらのさんとフルコンさんは同じバンド仲間で友達同士だし…、ここで私がぴらのさんへの好意を言ったら、迷惑がられるかもしれない。
『あ、の……。』
「ふふ、」
『え？』
私が返答に困っていると、フルコンさんは笑った。
…え、なぜ……。
「○○ちゃん、ぴらののこと好きやろ？」
『ええ！？』
千鶴、言ったの！？なんて思いを込めて千鶴を見ると、
千鶴は首を振っている。
「俺は本人じゃないから言えんけど、
なんか二人似とるな〜って思ってたんよ。」
『に、てる…？』
「まあ二人ともいい大人やし、周りがとやかく言う必要ないと思うけどな？…一応俺らはネットで活動してて、ファンもおって、やりたいことやってる真っ只中やけど、」
『……？』
「でも、俺も、ぴらのには幸せになって欲しいんよ。もちろん、○○ちゃんにもな？」
『…フルコンさん…。』
「その辺はちゃんとアイツも分かっとると思うよ、だから俺らの事は気にせず、ぴらののこと見てやって。」
こんなふうに思ってもらえてるなんて、思ってなかった。
なんでこんな優しいんだろう。
『…ありがとう、ございます。フルコンさん、』
「うちだって○○に幸せになってもらいたいよ。」
『千鶴…。』
二人とも、ありがとう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：成瀬 | 作成日時：2022年1月20日 13時
