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Canada ページ29

「…せんせい」

化学室の黒い冷たい机に頬をくっつけて背中を見つめた。

目に痛いほど明るい白の白衣に身を包み、教科書を片手に愛想笑いを浮かべる先生が好きだ。

「も〜…皆話聞いてくれないなぁ」

情けない笑みを浮かべてため息を零した先生はふわふわとした金色の髪を揺らしてふと、振り返った。

「Aちゃん、ぼーっとして…気分悪い?」

「…あ〜…いえ、別にそういうわけじゃ」

「それなら、よかった。けど…ちゃんと座っててね?僕がびっくりしちゃうから」

ふわりと笑ってまた、視線を彷徨わせる。
黒板には弱々しい " 光化学迷彩 " という文字が踊り、私を見下していた。

「…」

甘い匂いのする先生の声を遮るようにチャイムが鳴る。少し、残念そうな先生の顔から見ると試験1週間前にもかかわらず、範囲は終わっていないらしい。

「じゃあ、授業は終わりだね〜…次の授業は課題回収するから、みんな持ってきてね」

そう残して騒がしい教室から消えた先生のあとを追うように、席を立ち化学教員室の扉を叩いた。

「マシュー・ウィリアムズ先生いらっしゃいますか」

「はぁい、入って良いよ〜」

間延びした声に誘われるように化学教員室の中へ入ると、薬品の匂いとメープルシロップの香りが鼻をくすぐった。
先生の甘い匂いはこのメープルシロップの香りだったのか。

「…先生、授業たのしい?」

「何言ってるの、楽しいに決まってるじゃない」

「…なら、いいけど」

ふわふわと揺れる横髪に隠された瞳は何を物語っているのか、私にはわからない。

「Aちゃん、急にどうしたの?いつもみたいにニコニコしてないし…体調が悪いなら僕から担任(アル)に言っておくけど…」

「ううん、べつに」

先生は多分、気づいている。
だって、さっきから私と目を合わせないようにするし、変に優しい。

「Aちゃん、悩みがあって…もし、誰にも言えないことがあったら僕に教えてよ。君の助けになりたいんだ、わがままだっていいよ」

「…私だけの先生になってくれる、なんて聞いたら怒るでしょ」

先程から始めた小テストの丸つけをする手を止めた。
ギイと声を上げた回転椅子は私の方を向いて、優しく私の手を取った。

「…そのわがままだけは聞いてあげられないなぁ、ごめんね」

いつもの大好きな優しい笑顔を、今だけは見たくなかった。

「…私こそ、ごめんね。このことは忘れていいよ」
_

りはびり。

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(プロフ) - 藤子さん» おひゃあ、嬉しみ。あの世界観はめちゃめちゃスーパー性癖(語彙力)だからもうありがたいっていうかすごい好きです…()また合作しましょうね〜!! (2018年11月29日 22時) (レス) id: fae735e792 (このIDを非表示/違反報告)
藤子(プロフ) - 読んだ!!!私なんかの思いつきを文にしてくれてありがとう!!!!! (2018年11月29日 22時) (レス) id: 771e5159cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年9月16日 17時

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