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# ページ15

「…A行くぞ」

「は、どこに…?!」

愚問だ、と言わんばかりに肩をすくめ黒のスリムパンツの裾を捲る。
赤黒いDr.Martensのブーツと靴下を砂浜に置き、子供のような笑みを浮かべた。

はやく、と急かすのは靴を脱げということなのだろうか。
黒い革靴と学校指定の靴下を脱いで先輩の靴の隣に置いた。

「よし、走るぞ!」

私の手を強く引き走る。
ぱしゃぱしゃと波が私たちの足に絡みつく。
月を映す水面がぐにゃぐにゃと歪んで、揺れた。

「どうだ!A!楽しいだろ!」

「ふふ、すごい楽しい!」

夜だったことも、嫌々連れ出されたことも、全部、忘れていた。

「だから、頑張れよ」

「…頑張ります」

私のことを妹みたいな扱いをする彼は私の髪を撫でて優しく抱きしめる。
海の匂いに混じって、先輩愛用のハーバルフゼアノートの香りが鼻をくすぐった。

本田さんはこの匂いが苦手だと言うけれど、私は好きな匂いなのだ。

「…よし、帰るぞ」

「え、もうですか?」

「だって、もう1時回ってるし、俺がルッツに怒られる」

「…あ〜…ルートヴィヒさんめちゃめちゃ厳しいですもんね」

「そうなんだよな〜…まだ起きてると思うし、兄の俺様がいなくて寂しがってる頃だから、帰ってやるかぁ…」

靴の近くに置かれていた荷物を肩にかけタオルを渡した。
先輩は驚いたように私を見つめて、タオルを突っ返してくる。

「お前が先に拭けよ、女子は冷え症多いんだろ」

「へ、ありがとうございます…今日の先輩優しすぎてちょっと気持ち悪い」

「なんだと?」

「へへ、冗談です」

(続きます)

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(プロフ) - 藤子さん» おひゃあ、嬉しみ。あの世界観はめちゃめちゃスーパー性癖(語彙力)だからもうありがたいっていうかすごい好きです…()また合作しましょうね〜!! (2018年11月29日 22時) (レス) id: fae735e792 (このIDを非表示/違反報告)
藤子(プロフ) - 読んだ!!!私なんかの思いつきを文にしてくれてありがとう!!!!! (2018年11月29日 22時) (レス) id: 771e5159cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年9月16日 17時

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