検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:9,768 hit

拾参 ページ15

〈Aside〉

2005年7月19日。

「お姉さん!」

ビク

もう暗くなった頃、渋谷を歩いていると突然肩を掴みそう声をかけられた。

私は反射的に手をはらいのける。

「なに…」

「一緒に飲まない?あんまり可愛いから声掛けちゃった」

ナンパか……

テンションが一気に急降下して、私は無視して歩き出す。

だけどそいつはしつこくついてくる。

「この後用事あんの?急いでる?」

「……」

「オレここら辺結構詳しいよ、案内しよっか?」

「…………」

「連絡先だけでもどう?オレはタイプじゃない?」

イライラする。

タイプじゃねぇよオマエみたいなヘラヘラした男。

「あの、しつこいんですけど」

「あー!怒んないで怒んないで!じゃあさ、メルアドだけでも教えてよ」

話聞いてた?

「だから!」

さすがに我慢できなくなってキレそうになっていると、私と男の間に入ってきた人がいた。

「この人オレのツレなんだけど。なんか用?」

「あ……」

するとナンパ男は「冗談じゃ〜ん。そんな睨むなよ〜…」と言い、人混みに消えていった。

「……で、あなたは誰ですか?」

金髪、片耳ピアス。口も悪い。右手拳にある殴りダコ。

不良だな。この人。

「すみません、なんか困ってるみたいだったんで」

こちらを振り向いた彼はそう言った。

「……Aさん、ですよね?」

え、なんで私の名前知ってるの?

訝しげに彼を見ると、彼は慌てたように言った。

「マイキーくんと場地さんが、Aさんのこと話してるのよく聞いてて…1回だけ写真も見たことあるんです」

万次郎と圭介の知り合いで、ヤンキー。

この人もしかして…

「オレ、東京卍會壱番隊副隊長、松野千冬です」

やっぱり、東卍の人だった。

圭介とも、真一郎が死んでからあってないし、交友関係いまいち把握できてないんだよね。

万次郎と圭介、私の話したりするんだ…

「そっか…千冬くん、助けてくれてありがとう」

「いえ…あの、今日集会あるんスけど、来ないんですか?」

その言葉に私は目を丸くしてしまう。

「え、私東卍でもないし、行かないよ。なんで?」

「場地さんが、いつも呼んでるのにあれから1回も来ねぇよなって話してるの聞いちゃって…」

確かに私は、真一郎が死ぬ前は東京卍會の集まりにたまに顔を出していた。

だけど真一郎が死んだ今、東京卍會に関わる理由はない。

拾肆→←拾弐



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
84人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まゆげない | 作成日時:2022年4月26日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。