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「カバディ…」
高谷煉は未だに王城を狙っている。
そして、王城の頭上付近に手を翳した。
王城が左へ移動すると、高谷煉は右足で王城の左足に触れようとする。
床と靴が擦れた音を出し、王城は高谷煉の脚を掴もうと動く。
しかし高谷煉は脚を後ろへ下げ、避ける。
そして王城の頭へ手を伸ばした。
一挙手一投足が、紙一重の連続。
「っ…王城」
そんな2人を境に、宵越くんは高谷煉の脚を掴んだ。
「俺を忘れてんじゃねーぞ！！」
ところが、高谷煉は宵越くんの頭を力点として彼を引き離す。
「ぐッ…」
「攻撃終わらせろ！！押し返せ！！」
目まぐるしい攻防に会場は沸いた。
―――――しかし、二人の見ていた世界は…
そこからは、攻撃手同士首のとりあい。
互いの攻め手を狙う展開…。
高谷煉を守りつつ王城を倒そうとする奏和。
同じく、高谷煉を潰すべく果敢に飛びかかる能京。
両者一歩も譲らず。
同じだけの人数をタッチし続けた。
しかし、徐々に差は現れていた。
現在、得点は奏和32、能京28点。その状況に、応援に来ているサッカー部はザワついていた。
「審判！！タイムアウトだ！！」
「奏和！！30秒タイムアウト！！」
審判はピッ、と笛を鳴らす。
「向こう焦ってきたな」
「ああ…もしかしたら…」
「よせよ。そういう事口にすんのは弱い奴だ」
「…あ…ああ…」
後半残り1分30秒、4点差。能京の攻撃で再開。
完全に追い上げ厶ード。
「スー…フー…」
だけど――――
私は王城の方を見る。
限界だ。これ以上は危険だ。
井浦も同じことを考えていたのか、私に目を止めてから王城に声をかけた。
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作者名：神崎 奏 | 作成日時：2021年7月23日 13時
