かけがえのある世界。【灼熱カバディ】 (ページ39)

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「…まず態勢を整えよう。宵越、高谷との勝負は…」

宵越くんは間を開けて井浦に背を向ける。

「…わかってる試合に負けたら意味がねぇ。行ってくる」

カバディ、と駆け出す宵越くんは未だ高谷煉狙いだ。

「あーあー熱くなっちゃって！！」

「カバディ！！」

宵越くんは一気に加速し高谷煉へ手を振りかぶった。

「お…」

そんな宵越くんの攻撃も高谷煉は避ける。

悔しいけど、あいつ上手い…！

「カバディ！！カバディ！！」

何回も宵越くんは高谷煉へ手を伸ばすが、その度に避けられてしまった。

「宵越くん…」

宵越くんは後ろが塞がった途端に振り返り走り出す。

「カバディ！！」

その状況に相手は狼狽えを見せた。

「……！！」

「高谷狙いじゃ…」

しかし狼狽えはするも、直ぐに宵越くんを逃げられないように囲む。

「逃げ道はねーぞ！！」

「いや、身長がある！！外警戒しろ！！」

宵越くんは右へ行くと見せかけ瞬く間に稲妻が走るような回避を見せた。

2人のアウトにより能京の守備は回復。

だけど―――…

「早く戻れ宵越！！お前が帰った時点で…相手敵の攻撃だ！！！」

井浦がそう叫ぶと同時に、宵越くんのすぐ後ろをついていた高谷煉が、宵越くんに触れた。

「くっ！！！」

「カバディ…」

宵越くん急いで高谷煉を追いかける。

しかし戻って来た人ばかりで守備がガタガタ。いとも簡単に3人がタッチされた。

「カバディ…」

余裕のあるような動作で高谷煉は自陣へ帰る。

「3点だ！！能京全滅(ローナ)まであと2人ー！！」

「ナイス『追撃』！！」

追撃…こっちが自陣に帰った瞬間、ノータイムで攻めて来る攻撃法だ。

レイダーがキャッチングから逃れ自陣コートに戻った場合、相手チームのレイダーはこのレイダーを直接追いかけることは出来ない。

レイダーがタッチしただけで自陣コートに戻った場合は、相手チームのレイダーはこのレイダーを直接追いかけることが出来る。

宵越くんは悔しそうに、床を強く踏んだ。

やばい、2回目のローナを取られたらかなり厳しくなる。