かけがえのある世界。【灼熱カバディ】 (ページ23)

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22.部長ページ23

水澄の部屋。

「ねぇねぇ井浦！これ被って」

私はパーティーハットを井浦に被せる。

「正人が退院するからってテンション上がりすぎ。今日は宵越の歓迎パーティーだぞ」

井浦はそう言いながらパーティーハットを取ろうとする。

「ちょ、取らないで！今水澄くんと伊達くんがお菓子とか買ってきてくれてるから…どうしよう緊張してきた」

私もうひとつあるパーティーハットを被る。

「お皿出しました！」

畦道くんは紙皿をテーブルの上に置いてくれる。

「ありがとう！あ、そういえば――」

ｶﾞﾁｬｯ

扉の開く音がして私は動きを止める。

「うおお！お帰りなさい！！！」

畦道くんが大きく声を上げてお辞儀する。

「おつとめお疲れ様でした！！！」

「服役かよ」

王城…！

「………遅れてゴメンね相馬」

王城は目元を掻きながらそう言う。

畦道くんはそんな王城に抱きつく。

「……？なんだ？面識あんのか？」

「去年の冬にね。部長が畦道をスカウトしてきたんだ」

宵越くんの質問に井浦が紙皿をいじりながら答える。

私は少したじたじしながら王城に近づく。

「王城」

「…A」

「おかえりなさい！」

嬉しくて思わず笑いながらそう言うと、王城は少し申し訳なさそうに控えめに笑った。

「待たせてごめんね」

よかった。王城に選手生命が絶たれるような怪我がなくて、ほんとに良かった。

ほんとに――――――

私も王城に抱きつくと、宵越くんは驚いたような顔をする。

「おお…お前らは…つつ、付き合ってるのか？」

え。

私と王城は顔を見合わせてクッと笑ってしまう。

「部長が人と付き合うの、あんまり想像つかないかも」

ていうか宵越くんって、結構恋愛ネタ好きだよね。

「井浦…気になってたんだが…なんであいつが部長なんだ？」

宵越くんが井浦にこそっと聞く。

「なんでって？」

「いや、すげー弱そうだし…あいつはあの体で何ができるんだ？」

ちょっと、宵越くんめ、王城を甘く見ると痛い目見るぞ。気持ちはわからんでもないけど。

「……自分で聞きなよ。丁度いい機会だろ？」

・

「「「「「カンパーイ！！」」」」」

私たちはジュースで乾杯する。

宵越くんは1人でチキンを食べながら王城の方を見ている。