かけがえのある世界。【灼熱カバディ】 (ページ19)

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「なんで…鎖(チェーン)を使うとわかった…？」

「…いや。全くわかってなかったけど…鎖(チェーン)を使ってきたら必ずかわすって決めてた。

一朝一夕の連携は通用しない…それを体で教えるためにね」

そう言って、水澄くんは伊達くんとハイタッチした。

「攻撃…行ってくる…」

「い…いけんのかヨイゴシ…！？」

「…もう一度…守備がある…体力…残しとけ…守備にはお前の力が要る…」

宵越くん、だいぶ息上がってる…

「カバディ…カバディ…」

それでも、やっぱり宵越くんは楽しそうで…

「しゃーッ！！止めんぞ真！！」

「おう！！」

「クク…」

ちょっとだけ、羨ましいななんて思った。

・

「試合終了ー！！22対18で2年勝利！！」

「だー！疲れたー！」

うん、いい感じになってきた。

「4点差か…」

「くそッ…」

「最後ヨイゴシ1点返したのになあ」

「いや…それ以前にまだ守備が…」

そう言い終わる前に井浦が宵越くんに何を投げた。

「な…何すんだてめー…」

「身体冷やさないように」

「あ？これ俺のジャージじゃ…」

それは、能京高校カバディ部のジャージだった。

「いや…お前のだよ。なあ宵越。カバディって面白いでしょ？」

私たちは宵越くんの答えが気になり耳を傾ける。

「……………つまんねーよ。勝たなきゃつまんねー！！

あと一歩なんだ…いつもいつも！！俺はあと一歩を超える。勝つために連携が必要ってんなら…仕方ねーが仲間にもなってやる」

勝たなきゃつまらない。確かにね。

「……うん、私もそう思う」

私は宵越くんの傍にドリンクボトルを置きながらそう言って、井浦と視線を交わす。

宵越くんはジャージに袖を通す。

「うん、よく似合ってる」

「…じゃあ…改めて、宵越くん。

―――――ようこそ、カバディ部へ」