【イナオリ】元強化委員監視係は世界で戦う〈5〉 (ページ49)

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第248話ページ49

それを境に、観客席に座る各国の選手たちから志願する手が次々と挙がる。

「まあまあ！皆さまのお気持ちは、よーく分かりました！しかしながらここは私が監督として、独断と偏見によって、世界の転覆を企むテロリスト一派と戦う、世界代表メンバーを発表します！」

独断と偏見って…

監督らしい言い方に私は思わず苦笑いしてしまう。

「ではー！いきますよー！」

・

次々とメンバーが呼ばれていく。

FWが豪炎寺、灰崎、アフロディ、ペトロニオ、クラリオ、フロイ。

DFが風丸、ルース、マリク、リ・ハオ、私。

GKが円堂。

MFが明日人、光、野坂、一之瀬、アルトゥール……

「不動明王くん！」

監督の声に私は振り返る。

「不動くん！！」

私は風丸と不動くんに駆け寄る。

「怪我は治ったのか？」

「ああ。ギリギリ間に合ったがな」

「そして最後に…鬼道有人くん！」

え―――――

監督の言葉に私たちは一斉にそちらを見る。

するとそこから鬼道が歩いてくる。

観客もその姿に歓声を上げる。

「鬼道…！」

「来たのか！」

「少し前に着いていて合流するつもりだった…が、影山の入国を知り、極秘に奴の動きを追っていたんだ」

私と円堂と豪炎寺と風丸の傍に歩いてきながら鬼道がそう言う。

「あの影山がオリオンに雇われるとは」

「ああ。中途半端な依頼で誰かの手先になる奴じゃない」

「それってどういう意味？」

「奴が引き受けた依頼は、奴の興味を満たすほどに大きいものだった」

それって―――――――

あ、それより…

私は鬼道の真ん前に行って両腕を広げる。

その行動に数名は首を傾げ、ほとんどは何かを察したように苦笑する。

「感動の再会！」

「試合前にするものか？」

鬼道の言葉に私は頷く。

「試合前に元気づけてよ！今日だいぶ久しぶりのDFで緊張してるし」

笑いながらそう言うと鬼道は仕方ないなと言ったふうに笑う。

「今回だけだぞ」

鬼道はそう言うと私に近寄ってくる。

私は鬼道の背中に腕を回して抱きしめる。

「鬼道、会いたかった！」

「悪いな。1人で背負わせてしまって」

「え……」

「豪炎寺から話は聞いていた。もう大丈夫だ。この試合、勝つぞ」

鬼道の声に私は出てきそうになる何かを堪えて頷く。

「うん！」

そう言って抱きしめ合っていると、突然誰かに引き剥がされる。

見ると、それはフロイだった。

「フロイ…どったの」

「……僕も、元気づけてよ」

可愛すぎるその申し出に私はフロイを思い切り抱きしめる。