【イナオリ】元強化委員監視係は世界で戦う〈5〉 (ページ47)

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第246話ページ47

私たちが喜んでいると、突然会場にサイレン音、警報が鳴り響いた。

「え…」

恐怖と驚きで固まっていると、大きな爆発音と共に、スタジアムの端が崩壊し、煙が上がった。

「爆発！？」

「何が起こってるの……！？」

観客が慌てたように騒いで逃げ惑う。

「何なんだ！？」

すると、遮光性の天井に覆われ、スタジアム全体が薄暗い空間に包まれた。

観客席では武器を持った兵士たちが進攻し、人々を制圧しだす。

「客席には皆が！」

私が走り出そうとすると、フロイに腕を掴まれ止められる。

「フロイ…離して！みんなを守らないと…」

「僕が母さんの所にいくから、Aはここに居て！みんなの所に」

「フロイ……わかった！」

フロイと話しているとスタジアムの一角に、大きくホログラムが浮かび上がる。

そこに写されている人物が話し始めた。

〔よく聞くがいい。すさんだ世界の住人たちよ〕

イリーナさんだ。

「母さん…」

悲しそうな、フロイの呟きが聞こえる。

〔このスタジアムは世界変革への始まりの場所となるのだ。ここには全世界各国の人間が集まっている。私はこのスタジアム全員を人質として、全世界と取引をする〕

イリーナさん……

〔これは！？〕

驚愕を含んだ声が微かに聞こえる。

誰かがイリーナさんの元へ駆け込んで来たのだと分かる。

〔あらベルナルド、今忙しいの〕

〔ママ、これは一体何の真似です！？〕

ベルナルドさんも何も聞かされてなかったんだ……!

〔この中継を見ている全世界の首脳たちよ。お前たちが所有する全ての戦略兵器を、私は把握している。世界平和協定の条約違反の証拠を公表されたくなければ、提示する金額を、指定の200の口座に振り込んでもらう〕

これがイリーナさんの本当の目的……

兵器を持っている国を脅迫してるんだ…

「彼女の真の目的は、堕落した王を失墜させること。堕落した首脳たちをその地位から引きずり下ろすつもりです」

監督のその言葉に、私たちは目を見張る。

『えぇーっ！？』

恐怖からか私の手は小刻みに震え出す。